ここから本文です

アベノミクス第三の矢「成長戦略」、どうして中身が見えにくい?

2014/5/2(金) 17:00配信

THE PAGE

 成長戦略の目玉として法人税の実効税率の引き下げが議論されています。安倍政権の成立以後、成長戦略という言葉を耳にしなかった日はないくらいですが、成長戦略とは具体的に何を指しているのかイメージできない人も多いようです。そもそも成長戦略とは何なのでしょうか?

 安倍政権では、基本的な経済政策(アベノミクス)として3本の矢を掲げています。1本目は「大胆な金融政策」で、これは日銀の量的緩和を指します。2本目は「機動的な財政政策」で、具体的には大規模な公共工事です。そして、3本目となるのが、この「成長戦略」です。1本目と2本目は、あくまで長期不況から脱するための緊急措置ですが、成長戦略は、持続的な経済成長を実現するための長期的な政策です。つまりアベノミクスの中ではもっとも重要な位置付けなのです。

 重要であるはずの成長戦略が分かりにくくなってしまった背景には、政権発足当初と比べると徐々に内容が変化し、結果的に政策を小出しにする形になってしまったことが大きく影響していると考えられます。

 当初、安倍政権では、企業のグローバル化や規制緩和という、いわゆる構造改革的な手法を成長戦略の基本に据えていました。2013年前半の安倍首相のスピーチにはそうした姿勢が色濃く出ています。外国人投資家もその姿勢を評価し、株価も上昇していきました。

 しかし、実際に成長戦略として取りまとめられた「日本再興戦略」は、従来とあまり変わらない縦割型の業界支援策が中心で、構造改革的な内容は国家戦略特区など、ごく一部に限定される形になってしまいました。

 方向性が変わったとはいえ、成長戦略そのものはまとまったわけですから、本来であれば、このプランを軸に政策を進めればよかったわけです。

 しかし、数少ない構造改革プランのひとつであった国家戦略特区については、労働規制の緩和がほとんど盛り込まれないなど、事実上の骨抜きが進んでしまいました。構造改革が進まないことを批判する声が一部から上がったことや、外国人投資家の動きが鈍くなってきたことなどから、安倍政権は新しい成長戦略を打ち出す必要に迫られています。法人税率の引き下げやホワイトカラーエグゼンプション(いわゆる残業代ゼロ政策)、外国人労働者の受け入れといった、当初のプランにはなかった政策も検討され始めているのはこうした理由からです。

 結局のところ安倍政権は、強い産業をさらに強くして全体の底上げを図るのか、弱い産業をサポートして全体の底上げを図るのかという点で、まだはっきりと決断できていないようです。これは安倍政権の迷いでもありますが、国民自身の迷いでもあります。こうした迷いが、結果的に成長戦略の方向性のなさにつながっていると考えられます。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/1/28(木) 3:37
THE PAGE