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いちご大福の発祥は? 大阪の店舗「発祥こだわらず、大阪名物として味にはこだわる」

2014/5/6(火) 11:00配信

THE PAGE

 今が旬のいちご大福―。いちご果実をお餅で包み、あんこを絡ませるというアイデアは、いったい、だれがいつ考案したのでしょうか。いちご大福の発祥には諸説あって、昭和後期に登場したと言われていますが、インターネットなどではいくつかのお店が発祥店として紹介されています。かつて元祖論争になったこともあったようです。

三重、東京の有名店に聞いてみた

 たとえば、『とらや本家』(三重県津市)は昭和61年頃に販売を開始し、いちご大福発祥店としてテレビにも登場。もっとも、「うちが発祥やと言うのはお客様が言い出したことで、お店としては発祥店を謳っていません。実際、諸説ありますし、議論に巻き込まれても困りますしね。美味しいものを作っていくことに変わりはありません」(同店店主)
 さらに、いちご大福の商標登録をしている、和菓子処『大角玉屋』(東京都新宿区)は、元祖を名乗っています。「うちは昭和60年2月6日の販売で、これを証明する資料があります。当店以外に元祖とか発祥とかを名乗ってテレビで取り上げられているお店があり、これはおかしいなと思って、3年前に弁護士さんを通じてその根拠の資料提出を求めました。うちより古いところがあれば、“元祖いちご大福”だと言うのを取り下げないといけませんからね。でも、今のところ、一軒もないんですよ」(大角玉屋三代目社長)

大阪の店、お客さんのアドバイスで誕生

 そんな中、創業して50年、大阪市旭区にある御菓子司『松福堂正一』では、昭和50年代終わりにはすでに販売していたと言います。
 同店はもともと果物屋だったそうで、「昭和40年代から“いちご餅”を販売していたんです。いちごと餅を合わせた和菓子です。ところが、お客さんに『あんこも入れたらどうや?』って言われて、昭和50年代後半からあんこを入れるようになったと聞いています。考案したのは、先代社長になりますが…。これまで言わんとこうと思って、言ってなかった。発祥論争になっても困るし。けど、今ではいろんな地方の方もいっぱい買いに来て下さるし。発祥にこだわるつもりはないですが、大阪名物としてずっと味にはこだわっています」(二代目社長の松本正一さん)

 同店のいちご大福は、平成10年に第23回全国菓子大博覧会で内閣総理大臣賞を受賞し、その美味しさは折り紙つき。“めちゃウマ”です。「いちごの大きさ、さくっとした歯ごたえ、ジューシーな甘みなどを吟味し、季節によっていちごを変えてます。今は“ほのか”(佐賀県)を使用。小豆の炊き具合で微妙に変わってくるので、あんこにもこだわってますよ」(同社長)

 味わってみると、粒がしっかり残った甘いあんに、少し酸味のきいたいちごが絶妙で、柔らかな餅がまた極めて薄く、これはまさに職人技でしょう。粒あんと白あんがあり、一個230円。テレビにもたびたび出演し、“となりの人間国宝さん”(関西テレビ)のステッカーなども…。気さくなご主人と明るい女性スタッフも魅力です。季節限定品で(11月~5月末くらいまで)、冷蔵庫に保存して食べても柔らかさが変わらず、美味しいです。
(文責 フリーライター・北代靖典)

・北代靖典(きただい・やすのり)
高知県出身。大阪在住。立命館大学文学部中退。日刊ゲンダイをはじめ、スポーツ紙、週刊誌で事件、芸能、ビジネス、グルメ他、多ジャンルの取材を執筆。吉本興業の社史「吉本八十年の歩み」執筆に参加。第4回さいたま市スポーツ文学賞受賞(佳作)。著書に「完全ムショ暮らしマニュアル」(KKベストセラーズ)など。他の筆名での文庫本やビジネス書も。編集プロダクション・むとクリエイト主宰。

最終更新:2014/5/6(火) 11:00
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