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「中小企業の半数が賃上げ」の調査結果は実態を反映しているか?

2014/5/10(土) 6:00配信

THE PAGE

 全国の中小企業のうち半数近くが2014年度に賃上げを実施する見込みであることが、日本商工会議所の調査で分かりました。賃上げは中小企業にも波及しているのでしょうか。

 日本商工会議所が全国の中小企業3134社に聞いたところによると、賃上げを実施見込みもしくは実施した企業が48.6%、未定とした企業が33.2%、賃上げを見送った企業が18.2%でした。

 今年の春闘では、政府が異例の賃上げ要請を行ったことから、賃上げに踏み切る企業が増加しました。連合では今回の春闘において、平均賃金方式で6161円、率にして2.14%の賃上げが実現できたとしています(4月23日時点)。企業側は、すべての従業員の給与が恒常的に増加するベースアップには慎重な姿勢を崩しておらず、妥結した会社はまだ6割程度となっています。商工会議所の調査では賃上げ率までは分かりませんが、春闘の結果と比較すると、中小企業もそれなりに賃上げに前向きであることが分かります。

 ただ商工会議所の調査が中小企業全体の動向を反映しているのかどうかは何とも言えません。全国には約260万の会社がありますが、このうち資本金5000万円以上の会社は約7万社に過ぎません。残りの250万社は中小企業ということになりますが、中小企業の置かれている状況はまさに千差万別です。商工会議所に加盟する企業は比較的、経営のしっかりしたところが多いと考えられますから、今回の調査対象になった企業の状況がすべての中小企業にあてはまるとは考えない方がよいでしょう。中には、労使交渉もほとんど行われないというところもありますから、賃上げとはまったく無縁な労働者も大勢いるはずです。

 4月からは消費税が増税になっています。これによって東京都区部の物価は、前年同月比で2.7%ほど上昇しました。消費税による名目上の物価上昇は1.7%程度とみられていましたから、増税の影響を差し引いた物価上昇は前年同月比で1.0%ということになります。これは3月と同水準ですから、露骨な便乗値上げはそれほど行われていないと考えてよいでしょう。

 ただ、消費者は、増税分を差し引いた実質的な物価上昇よりも、消費税込みの名目上の物価に大きく影響を受けることになります。今のところ、物価上昇に賃金が追い付いたという状況にはなっていません。夏のボーナスの水準によっては、消費者の心理が大きく後退する可能性も出てくるでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/3/23(月) 4:15
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