ここから本文です

正社員化進む小売・飲食業、人手不足との関係は?

2014/5/12(月) 13:00配信

THE PAGE

 小売店や外食といった分野で、非正規社員の正社員化が進んでいます。人手不足との関係も指摘されますが、背景には何があるのでしょうか。

 「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは、1万6000人の非正規社員を正社員化する計画を明らかにしました。また、居酒屋などを展開するワタミは転勤を伴わないエリア限定社員制度を本格導入し、アルバイトから正社員への登用を増やす意向であることを明らかにしました。ユニクロの正社員化も基本的には地域限定型ですので、基本的にワタミと同じ試みということになります。このほかスターバックスや杵屋などが同様の方針を表明しています。

 ユニクロの柳井社長は、正社員化の理由として、少子高齢化と景気回復による人手不足をあげています。ワタミも基本的な背景は同じでしょう。牛丼チェーンの「すき家」では、1300円を超える時給でもアルバイトが集まらず、店舗のオペレーションが出来なくなるという事態も発生していますから、現場の人手不足はかなり深刻なようです。

 こうした人手不足に対しては、不景気が続いてきたのになぜ?とクビをかしげる人も多いようです。日本の労働力人口はここ10年ほぼ横ばいが続いており、これだけ見るとそれほど人手不足にはならないように思えます。しかし、年齢別の動向を見ると状況は一変します。15歳から34歳までの若い世代の労働力人口は、ここ10年で何と2割も減っているのです。小売や外食では若い世代の社員が中心となります。いくら高齢者の労働人口が減っていなくても、こうしたチェーン店では人手不足が深刻になるわけです。今後は、中高年も含めて、労働力人口がますます減ってきますから、今後は慢性的に人手不足が続く可能性が高いと考えてよいでしょう。

 これまで非正規社員だった人が正社員になれば、雇用に対する不安が減少しますから、安心して働くことができるようになります。これは消費にもよい影響を及ぼすかもしれません。

 ただ、企業は人手を確保したいといっても、無制限に待遇を改善させることはできません。人手不足が半永久的に続くとなると、どこかのタイミングで、人を確保できずに事業展開を諦める企業が増加し、ひいては経済成長も鈍化するという事態が発生する可能性があります。現在、政府内部では外国人労働者の受け入れ拡大について議論が進められているようですが、こうしたことも議論の背景になっていると考えられます。
 
(大和田 崇/The Capital Tribune Japan編集長)

最終更新:2015/11/3(火) 4:07
THE PAGE