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自治体半数が消滅の危機、対策はあるのか?

2014/5/14(水) 11:00配信

THE PAGE

 人口の減少によって地方自治体の維持が困難になるという推計がまとめられました。国全体の出生率を上げても、自治体の消滅を回避できないという少々ショッキングなものなのですが、対策はあるのでしょうか?

 推計をまとめたのは元総務大臣の増田寛也東大客員教授が座長をつとめる民間組織「日本創世会議・人口減少問題検討分科会」です。日本の人口が減少するという問題はかなり以前から指摘されており、特に目新しいものではありません。政府の有識者委員会でも、2060年に人口1億人を維持するという政府目標の導入について検討中です。

 しかし、この分科会の推計は、地方から大都市圏への人口流入について着目しているという点で、従来のものとは異なっています。分科会では、戦後、累計で約1200万人が地方から大都市圏に移動しており、これが人口減少に拍車をかけていると指摘しています。現在も毎年、数万人が移動しており、この動きが今後も続いた場合、全国の約半分の自治体で出産適齢期の女性が激減し、自治体を維持できなくなるということです。また、若者の人口減少が激しい地域については、どんなに出生率を上げたとしても、自治体の維持は基本的に困難になるとしています。

 地方から都市部への移動と、有効求人倍率の格差には高い相関があるとされています。つまり、仕事の需要が大都市圏にある限り、人口流出が続く可能性があるわけです。高齢化は大都市でも進んでおり、介護の雇用需要は拡大する一方なのですが、こうした状況が、さらに若者の大都市圏への移動を加速させてしまうのです。

 分科会では、出生率を1.8~2.1(現在は約1.4)に引き上げ、全体の人口減少に歯止めをかけるとともに、地方から大都市圏への若者の流出を防ぐ政策が必要だと指摘しています。

 具体的には、若者にとって魅力のある「コンパクトな拠点」を構築し、それらを交通と情報のネットワークで結ぶとしています。拠点ごとに効率良くインフラを整備することで、教育施設の拡充や生活コスト全般の軽減化を図り、子育てをしながらでも、安心して働ける環境を提供しようというわけです。また、日本全体の経済圏についても、国際競争を基本とするグローバル経済圏と、地域の需要を基本とするローカル経済圏に分け、それぞれをうまく共存させることについても提言しています。

 地方から都市への人の流れを何とか食い止めようというわけですが、一方では、都市部への人口集中は成熟社会の自然な流れであり、無理に逆らわない方がよいとの意見もあります。こうした人の移動をコントールする政策が効果を発揮するのかは現段階では何とも言えません。

 いずれにせよ、このままでは出生率が改善しても維持困難となる自治体が増えることは確実であり、この点について何らかの対策が必要なことは間違いないでしょう。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/2/14(日) 3:58
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