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意外と知らないカーエアコンの仕組み 効率的に使いこなすコツとは

2014/5/18(日) 17:00配信

THE PAGE

 カーエアコンが活躍する季節になった。ガラスに囲まれて暑くなり易い車内でも、お手軽にただスイッチを入れれば涼しくなる。ただし、実はエアコンにも上手な使い方がある。省エネルギーのためにもその構造を知っておきたいところだ。

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原理はアルコール綿と同じ

 エアコンが冷気を作る仕組みは、原理的にはとても簡単。液体が蒸発する時に熱を奪う性質を利用している。注射をする時アルコール綿で肌を拭かれるとスーッとするのは誰もが経験したことがあるだろう。あれがエアコンの仕組みの基本だ。あのアルコールが永遠に気化し続けてくれれば、いつまでも熱を奪ってくれる。そのためには気化したアルコールを全て回収してもう一度液体に戻し、再度気化させる仕組みを作ればよい。

 エアコンではアルコールの代わりにフロンガスを使う。気化させたガスが空気中に放出されてしまうと液体に戻せなくなるので、ガスは密閉された回路の中に入れられている。回路の中で気化して冷たくなると、ガスを密閉している管が熱伝導で冷える。冷えた管の外表面にファンで風を送れば空気が冷やされる。

 この管は熱伝導に優れたアルミでできており、同じくアルミ製の沢山のヒダが付けられ、空気との接触面積を増やして熱交換効率を上げる工夫がされているのだ。家庭用のエアコンのフィルターを外すと、このヒダが見えるので「ああ、あれのことか」と思う人もいるだろう。あの室内機のことをカーエアコンではエバポレータと呼ぶ。室内機=エバポレータという名前はこれから何度か出てくるので覚えておいて欲しい。

「液体→気体→液体」と変化させる仕組み

では、一度気化したガスをどうやって再度液体に戻すかと言うと、高校の物理で習った「ボイル=シャルルの法則」を思い出して欲しい。嫌な気持ちになる人もいるかも知れないが、全然難しくない。「何だっけ?」という人にエアコンに関係ある部分だけかいつまんで説明すると、気体は圧縮すると温度が上がり、膨張させると温度が下がる。という法則だ。

 エバポレータの内部で気化したガスを、エンジンからベルト駆動されるコンプレッサ(ポンプ)で圧縮すると温度が上がる。エアコンのスイッチとは実はこのコンプレッサを回すプーリーを電磁石式クラッチでオンオフする単純な仕組みだ。

 カーエアコンの場合だいたい大気圧の15倍、約1.5MPaまでガスを圧縮する。タイヤの空気圧が大気圧の2倍少々であることから考えてどれだけ高圧かは解るだろう。この時ガスの温度は80度前後になるので、仮に外気温30度でも50度の温度差が得られ、夏の外気でも十分冷やせるのだ。この冷却をおこなうのが室外機(コンデンサ)。構造はエバポレータと同じで管とヒダでできている。ただし今度は外気で管の温度を下げるために使われる。コンデンサでガスの温度を60℃まで下げるとフロンは液化する。つまりめでたく元の液体に戻るわけだ。

 しかしこれで終わりではない。60度では冷房の役目を果たせないので、フロンガスを膨張させてもっと温度を下げなくてはならない。再度ボイル=シャルルの法則の登場だ。今度は液化したフロンガスを霧吹きのように小さな穴から噴霧して一気に圧力を下げる。これによって60度前後あった液体フロンは再び気体に戻り、-5度前後になる。この氷点下のガスがエバポレータの中を通り、最初に書いたように冷気を作るのだ。

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最終更新:2016/2/10(水) 4:13
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