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KADOKAWAとドワンゴが経営統合、角川氏と川上氏の2人の歴史

2014/5/21(水) 11:00配信

THE PAGE

 出版や映画を手がけるメディア企業のKADOKAWAと、動画配信大手のドワンゴが経営統合することになりました。豊富なコンテンツと強力な配信プラットフォームを持つ2社の組み合わせですが、今回の合併には、KADOKAWA会長の角川歴彦(つぐひこ)氏から、ドワンゴ会長である川上量生(のぶお)氏への後継者指名という側面もあります。

 角川歴彦氏はその名前から分かるように、旧角川書店の創業家の出身です。当初、角川書店は歴彦氏の兄である角川春樹氏が社長に就任し、小説と映画を組み合わせるメディアミックスの手法で一時代を築きました。角川映画からは薬師丸ひろ子や原田知世など何人もの国民的スターが誕生しています。しかし、春樹氏と歴彦氏は経営方針をめぐって対立してしまい、歴彦氏は一旦会社を追われてしまいます。しかし春樹氏が1993年に麻薬取締法違反で逮捕されたことをきっかけに、歴彦氏は角川に復帰することになります。その後、歴彦氏は堅実なM&A戦略によって、角川書店を総合的なメディア企業に育て上げました。

 一方、ドワンゴ会長の川上量生氏は現在45歳。京都大学卒業後、サラリーマンを経て1997年にドワンゴを創業した若い経営者です。当初はセガ・エンタープライゼス(現セガサミーホールディングス)のゲーム機ドリームキャスト関連のビジネスを行っていましたが、その後は携帯コンテンツ事業にシフト、2007年にはニコニコ動画を開始して、現在の躍進のきっかけを作りました。

 統合後の持株会社の会長には川上氏が就任し、角川氏は相談役に退きます。実質的にこの合併は、ドワンゴ経営者の川上氏をKADOKAWAとドワンゴ両社の後継者に据えるためのものだったと解釈することができます。KADOKAWAとドワンゴは2010年に資本・業務提携を行っており、相互に株式を保有しています。角川氏はすでにこの時点から、川上氏に対して合併を持ちかけていたと発言しており、後継者指名のための合併であったことを認めています。

 KADOKAWAは豊富なコンテンツを保有していますが、出版依存体質から脱却できていません。2014年3月期の売上高1500億円のうち、4割が書籍、2割が雑誌関連となっており、デジタル系のコンテンツは全体の1割強しかありません。また売上高も前年比で6.5%減少しています。すぐにKADOKAWAの経営が傾くことはありませんが、このまま紙媒体への依存が続くと、いずれ経営がジリ貧になる可能性があります。抜本的な改革を進めるには、若くデジタル分野に強い経営者が必要と考え、川上氏に白羽の矢を立てたのでしょう。

 KADOKAWAとドワンゴの両社は、KADOKAWAが持つアニメなどのコンテンツをドワンゴのプラットフォームを使って海外に発信していくことになります。その後は、両社の強みを生かした新しいコンテンツが作り出されていくことになるかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/9/16(水) 4:43
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