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法人税減税と優遇税制の見直しとの関係は?

2014/5/23(金) 7:00配信

THE PAGE

 法人税の減税をめぐって、税の優遇策に関する見直し作業が政府内部で本格化しています。法人税の減税と優遇税制の見直しにはどんな関係があるのでしょうか?

 安倍政権では、今後の成長戦略の柱として、諸外国に比べて高いといわれる法人税の実効税率引き下げを打ち出しています。しかし、現在の税制のままで実効税率を引き下げてしまうと、税収が減ってしまいます。財政再建の最中であることを考えると、何としても税収減は避けたいところです。そこで浮上してきたのが、優遇税制の見直しと法人税の減税をセットで実施するという案です。

 日本の法人税の実効税率は高いといわれていますが、実は税金の面で優遇されている法人がたくさんあります。これらの優遇措置を見直し、税制をフラットなものにすれば、税率を引き下げても、税収の減少を抑制できるというわけです。

 優遇税制の中には、特定の要件を満たすと税の優遇が受けられる租税特別措置や、中小企業の税負担を軽減するための軽減税率制度、公益法人に対する優遇制度などがあります。また赤字法人にはほとんど課税されていないという点も、一種の税の免除であり、税の公平性という観点からこれを見直す動きも出てきています。

 現在、中小企業に対しては、税率を低く抑える軽減税率をはじめとして様々な優遇措置があります。政府の税制調査会では、法人税を引き下げる場合には、こうした軽減税率の見直しとセットで実施することについて検討すべきだとしています。

 もっとも中小企業の多くは赤字法人となっており、そもそも法人税を支払っていないところも少なくありません。また、大企業に対してはさらに規模の大きい優遇措置である租税特別措置が適用されています。結果として利益をたくさん出している中小企業だけが高い負担を強いられているという指摘もあり、中小企業の軽減税率廃止に対しては反対意見が出ることも予想されます。

 このほか、社会福祉法人など公益法人に対する優遇措置についても、適正な競争を確保するという観点から見直す動きも出ています。

 法人税の減税は、税率の引き下げ自体は単純な話なのですが、その背後には複雑な優遇措置がたくさん絡み合っており、利害の調整に手間取る可能性があります。ただ、税制を公平なものにすることには意義があります。今回の減税論議をきっかけに、こうした税の公平性に関する議論が深まるのであれば、それは評価すべきことといってよいでしょう。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/4/23(木) 4:49
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