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スイスで最低賃金2500円めぐり国民投票、どうなった?

2014/5/27(火) 7:00配信

THE PAGE

 スイスで少々驚きの国民投票が行われました。最低賃金を時給22スイスフラン(約2500円)にするというものなのですが、その結果はどうなったのでしょうか。

 国民投票は5月18日に実施されました。結果は反対が76%となり、最低賃金の導入は見送られることになりました。今回の国民投票は、社会党や緑の党など、左派勢力が呼びかけて実施にこぎつけたものです。左派勢力は、物価が高いスイスで生活していくには2500円は必要な額だとして賛成を呼びかける一方、企業経営者らは高すぎる最低賃金は企業の国外移転を促し、失業率の増加につながりかねないと主張していました。

 いくらスイスの物価が高いとはいえ、2500円の最低賃金はあまりにも非現実的に思えます。しかし、スイスでは必ずしも無謀な金額とは見なされていないようです。多くの労働者がすでに時給2500円以上を得ており、今回の最低賃金に関する国民投票は、現状を追認したものにすぎないというのです。

 確かにスイスは、世界でもっとも豊かな国のひとつといってよいでしょう。スイスの主な産業は、金融と高級時計に代表されるような付加価値の高い製造業です。

 スイスの金融機関は秘密厳守で知られており、世界中からグレーゾーンの資金を集めて高い収益を上げていました。しかし各国からの批判が集中したことで、スイス当局は情報を開示する方向に舵を切り始めています。当初はスイスから大量の資金が流出すると思われていましたが、違法な資金というのは意外と少なく、情報開示後もスイスの金融機関には多くの資金が集まっています。また世界的な経済規模の拡大から、高級時計へのニーズも高まる一方で、スイスの時計メーカーは好業績が続いている状況です。

 このため、スイスの一人当たりGDPは約8万1000ドルと、日本の2倍以上の水準になっています。確かにこれだけの豊かさがあれば、最低賃金制度がなくても、多くの労働者が2500円以上の時給を得ることは十分に可能でしょう。

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最終更新:2016/1/15(金) 3:56
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