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繰り返されるクーデター「タイ式民主主義」の行方は /早稲田塾講師 坂東太郎のよくわかる時事用語

2014/5/27(火) 15:14配信

THE PAGE

なぜクーデターが繰り返される?

 戦後のタイ情勢はクーデターや未遂が多発しています。クーデターを起こした軍人が失政やら独裁化するなどして「元身内」の軍から追い出されたり、汚職、腐敗、経済的失敗などの混乱を軍が粛清する意味合いもありました。ソ連崩壊(1991年)までは共産主義勢力の排除もクーデターの主たる目的となっています。

 タイの政情は今まで揺れ続けており、その間ほぼ唯一揺らがなかった王座が結果的に解決の最終手段になってしまったようです。

「タイ式民主主義」の今後は

 タイが今後も立憲君主制度下の議会制民主主義を掲げるならば、正統な国民の選挙の結果を軍も受け入れるしかないはずです。06年のクーデターで「タクシン派」をけん制する仕組みを作ったのに「反タクシン派」とのいざこざは解決しなかったどころか混乱に拍車をかけただけでした。

 そこを「反省」して軍事政権を長期化させたり、「タクシン派」を封じ込めるいびつな新憲法を作ったりしても根深い不信が社会にみなぎってテロなど過激な方向に行きかねないし、そうした仕組みを国際社会も議会制民主主義国家とは認めないでしょう。「反タクシン派」もクーデターを歓迎しているようでは話になりません。国民への支持を広げるのを忘れて、デモはともかく選挙ボイコットをするような政党が敗北するのは自業自得という常識を徹底させるべきです。

 古風の極みである王政が場外乱闘を繰り広げる政党政治を、これまた古風なクーデターという手法で鎮圧した軍を権威付け、その目的が「国民の結束を図るため」というのは実に奇妙な構図です。それでも国王に頼れるうちはともかく、既にご高齢で後継者も決定していないという大きな課題も抱えています。

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■坂東太郎(ばんどう・たろう) 毎日新聞記者などを経て現在、早稲田塾論文科講師、日本ニュース時事能力検定協会監事、十文字学園女子大学非常勤講師を務める。著書に『マスコミの秘密』『時事問題の裏技』『ニュースの歴史学』など。【早稲田塾公式サイト】

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最終更新:10/5(金) 14:56
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