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残業代ゼロ政策議論のポイントは?

2014/5/30(金) 15:00配信

THE PAGE

 政府は、労働時間に関わらず賃金を一定にする、いわゆる残業代ゼロ制度の導入に向けて動き出しました。具体的な議論はこれからですが、どのような点がポイントになっているのでしょうか。

 この制度は、昨年夏に産業競争力会議で検討されたものの、各方面から激しい反発があり、導入が見送られたという経緯があります。しかし、財界からの強い要望があり、今年に入って、再び産業競争力会議で議論されることになりました。

 一連の議論の中で、最大の争点となっているのは、どの社員を残業代ゼロの対象とするのかという部分です。産業競争力会議の民間議員である長谷川閑史氏は、年収1000万円以上の社員に加えて、労使で合意すれば一般社員もその対象にするという案を提案していました。長谷川氏は経済同友会の代表幹事ですので、長谷川氏の案は財界の意向を反映したものと解釈してよいでしょう。しかし、厚生労働省がこの案に難色を示したほか、労働組合などからも強い反発が出ていました。

 安倍政権は、残業代ゼロ制度の導入に前向きといわれており、6月にまとめる成長戦略にこの制度を盛り込みたい意向です。厚生労働省はこうした動きを受けて方針を転換、条件付きで導入を容認する方向で調整を開始しました。ただ、制度の対象となる社員は、為替ディーラーなど「世界レベルの高度専門職」に限定すべきとしており、対象社員を拡大することについては引き続き慎重なスタンスを維持しています。

 一方財界は、一般社員にも対象を拡大するという案については断念したものの、一定の能力と責任があり、かつ本人が希望する場合には、制度の対象にするという新しい案を産業競争力会議に再提出しています。具体的な職種としては、経営企画、事業計画策定リーダー、海外プロジェクト・リーダー、新商品開発リーダー、ファンドマネジャー、ITコンサルタント、経済分析アナリストなどが例示されています。また制度が濫用されないよう、過半数組合(労働者の過半数を組織している労働組合)を持つ企業に限定するという条件も示しています。

 具体的な調整はこれからですが、制度の中に年収制限を入れるのかどうか、対象職種をどの程度に絞るのか、という点については、激しい議論になることも予想されます。

 一旦、制度が導入されれば、対象職種が広がっていく可能性は高く、残業代が出なくなる職種は増えていくことになるでしょう。これまで法定残業代をしっかり受け取ることが出来ていた優良企業の社員にとっては影響が大きいかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/2/17(火) 3:30
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