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「年金の支給開始が75歳になる」は勘違い

2014/6/4(水) 13:00配信

THE PAGE

 年金の受け取り開始年齢を75歳まで延長できるようにするという政府の方針が波紋を呼んでいます。年金支給の開始を遅くすれば支給額が増えるという制度なのですが、75歳まで年金がもらえないと勘違いした人が多いようです。

 話の発端は、田村厚労大臣が5月11日のテレビ番組で、公的年金の受け取り開始年齢について、個人の判断で75歳まで延ばせるよう検討する方針を明らかにしたことです。

 現在、公的年金の受け取り開始年齢は、国民年金が65歳、厚生年金は60歳からですが、厚生年金については、段階的に65歳までの引き上げが実施されている最中です。公的年金には、本来は年金がもらえる年齢に達していても、その支給開始を遅らせることで、受け取る年金の額を増やせる制度があります。お金に余裕があり、とりあえず年金が必要ないという人は、受け取りを遅らせ、後でより高額の給付を受けることができます。田村大臣の話は、この対象を75歳まで引き上げようというものだったのですが、これが誤解されて伝わり、75歳にならないと年金がもらえなくなると勘違いした人もいたようです。今回、政府が検討しているのは、あくまで個人の自由意思で年金支給の開始時期を遅らせることができる制度です。

 今のところ、65歳から支給を受けられる人が70歳まで支給開始を延長すれば、もらえる年金の額は1.4倍程度に増加します。平均寿命を起点にして制度が設計されていますから、もし長生きすれば得をして、あまり長生きしなければ損してしまうわけです。いつ年金をもらった方がよいのかは、最終的には本人が何歳まで生きるのかという、誰にも分からない部分がカギとなりますから、あまり深く悩んでも仕方がないかもしれません。

 ただ現実には、年金支給開始年齢の繰り下げを選択する人はそう多くないと考えられます。日本人の寿命はまだ延びていますが、平均寿命よりも長く生きると強く確信している人がたくさんいるとは思えません。また、年金がなくても十分に生活ができる人は、非常に限られていますから、総額で損をしても、むしろ繰り上げ支給を望む人が増えてくる可能性が高いでしょう。

 一方、年金財政は年々苦しくなってきているのが現実です。今回の75歳支給開始はあくまで個人の選択という話でしたが、近い将来、全員が75歳からの支給開始になるという可能性は決して否定できません。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/11/29(日) 4:55
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