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日銀が政府に構造改革を求めるようになった理由は?

2014/6/6(金) 10:00配信

THE PAGE

 このところ、日銀が政府に対して構造改革の実施を求める発言が目立っています。黒田総裁が就任して以降、日銀は構造改革について踏み込んだコメントは出していなかったのですが、どんな変化があったのでしょうか?

 黒田総裁は先月末、米経済紙とのインタビューで、構造改革を実施することの重要性についてコメントしました。また岩田副総裁も海外の講演において、構造改革を進め、潜在成長率を上昇させるよう政府に求める発言を行っています。白川前総裁の時代には、表現こそ柔らかいものでしたが、日銀は幾度となく、構造改革の重要性について強調していました。しかし、黒田総裁が就任してからは、政府の経済政策について日銀はあまり言及しなくなっていました。ここに来て、構造改革に関する発言が増えてきているのは、日銀がデフレ脱却に自信を深めているからだといわれています。

 量的緩和策は市場にマネーを供給する政策ですから、期待インフレ率を高めたり、その結果として実質金利を引き下げることまでは実現が可能です。しかし、実体経済を継続的に成長させるためには、適切な淘汰が行われ、競争力のある企業が伸びていく環境が必要となります。こうした改革は金融政策だけでは実現できないものであり、政府の成長戦略によるところが大きいわけです。日銀としては、金融政策でやるべきことをやったのだから、次は政府の出番であると主張したいところなのかもしれません。

 一方ではもう少し別な見方もあります。日本がデフレを脱却したのは事実ですが、日銀が目標とする2%の物価上昇を実現するのはもう少し先になりそうです。現在、日本の株価はあまり思わしくない状況ですが、このままの株価水準がしばらく続くことになると、日銀に対して追加緩和の要求が高まってくる可能性があります。

 日銀としては、追加緩和は最後の手段として取っておきたいというのがホンネであり、日銀の金融政策だけに期待が高まる状態は避けたいところです。安易に追加緩和を求める議論にならないよう、市場や政府に対してクギを刺したという解釈が市場からは聞かれます。

 日銀の真意はともかくとして、時代の状況に合わせて産業構造を変えていかないと、継続的な成長を実現できないのは確かです。その意味で、アベノミクスの第三の矢である成長戦略はまだ十分な水準とはいえません。政府は6月に最新の成長戦略を取りまとめる予定ですが、これに対して市場がどう反応するのか、要注目といえるでしょう。

(大和田 崇/The Capital Tribune Japan編集長)

最終更新:2015/2/11(水) 4:31
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