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なぜウクライナで欧米とロシアは綱引きするのか? プーチンの夢「ユーラシア連合」

2014/6/7(土) 13:00配信

THE PAGE

この21世紀の世界で、ロシアとウクライナ――一応先進国に分類されている――が領土を取ったり取られたり、そして今でもウクライナ東部で流血が続く。なぜこのようなことになったのか?

【地図】ウクライナを挟んで欧州とロシアが対峙する

1991年のソ連崩壊にさかのぼる

話しのそもそもは、ソ連が崩壊した1991年にさかのぼる。異民族を力で従える「帝国」が崩壊すると、異民族地域は独立しても力を欠いた、不安定な地帯になりやすい。周辺の大国がそこに勢力圏を拡大しようとして、相争うからである。1990年代を通じて混乱していたロシアが、2000年代に原油価格高騰で息を吹き返し、周縁諸国への影響力回復を策していることも事態をますます複雑にする。プーチン大統領は2010年にはカザフスタン、ベラルーシと「関税同盟」を結成、2014年にはこれを「ユーラシア経済連合」へと昇格させてEUのような連合を作り、その盟主に収まっているのである。

これに対して、2008年の世界金融危機のあおりで経済を悪化させたウクライナのヤヌコーヴィチ大統領は、EUにすり寄ることで資金を獲得しようと画策した。ドイツなどEUの老舗も、自分の商圏が東に拡大することには異存がない。ポーランドやリトアニアのような新規加盟国も、ウクライナをEUに入れることで、ロシアに対する緩衝地帯を作っておきたい。そこでヤヌコーヴィチ大統領は、「連合協約」(EU加盟一歩手前の自由貿易協定のようなもの)締結をEUと交渉し、昨年11月には署名の一歩手前にこぎつけた。

EUとウクライナの接近に反発

これにプーチンは猛烈に反発する。旧ソ連圏ではロシアに次ぐ大国ウクライナをEUに取られたら、彼の夢である「ユーラシア連合」は意味のないものになってしまうからだ。プーチンに資金援助までちらつかされたヤヌコーヴィチは11月末、EU連合協約への署名を直前になって「延期」する。

EUとの結びつきを強めることで、民主化や政治の浄化ができるのを願っていたリベラル層は、厳寒のキエフでヤヌコーヴィチを糾弾する座り込みを開始した。米国大使館や米国のNGOは、この動きを支援する。米国は、ヤヌコーヴィチ政権を倒し、民主主義を推進することが、ウクライナの政治を浄化し、経済の独占構造を破壊する、これがウクライナ国民全体に良いことなのだ、という正義感に突き動かされているのである。

しかしどこの国でもリベラル層は弱いものだ。彼らの動きは尻すぼみになっていく。代わって台頭したのが「右翼」と呼ばれる連中で、これは反ロ派、西欧諸国にもいるようなスキンヘッドの国家主義者達、そして不良の寄せ集めである。彼らは、騒ぎを暴力化、エスカレートさせる中で自分達の発言力を拡大、それによってカネや地位を手に入れようとした。

2月下旬、反政府派はヤヌコーヴィチ政権と合意に達する。年末までには大統領選を前倒しで実施して、その時点でヤヌコーヴィチは政権から去る、その代わり「右翼」は実力で占拠していた政府の建物から直ちに退去する、というのである。ところがその合意の直後から、右翼は建物の占拠をかえって拡大し、翌日には議会がヤヌコーヴィチ大統領を「解任」する決議を採択する騒ぎとなった。彼は命からがらロシアへと逃げ出す。

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最終更新:2015/11/1(日) 4:42
THE PAGE

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