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阪神鳥谷は首位打者を取れるか

2014/6/11(水) 14:09配信

THE PAGE

交流戦で阪神の鳥谷敬(32歳)が打率を急上昇させ現在、打率.338で、セ・リーグの首位打者に立っている。鳥谷が6月以降で打率首位をキープしたのは、プロ11年目で初だ。交流戦での成績は、打率.443、3本塁打、15打点、13得点。得点圏打率も.478と抜群。本人は、「チームの勝利のために走者を返すのが仕事」と、フォア・ザ・チームに徹した結果であるとしか口にしないが、どこが、どう変わったのか。阪神DCで今春キャンプでは鳥谷を直接指導した評論家の掛布雅之氏は、「交流戦で相手が、パの慣れないピッチャーになったことで仕掛けが早くなったこと」と「開幕前に痛めた背中など、抱えていた故障にうまく向き合えるようになったこと」を理由として挙げた。  

掛布氏の言う“仕掛け”とは、配球の読みの話だ。選球眼に優れている鳥谷は、じっくりと好球を待ちながら“粘る”イメージが強いが、交流戦に入ってからは初球やカウント1-0という早いカウントから打って出るシーンが目立つ。「交流戦では、ストレートを待って変化球に対応するという原点、基本に立ち戻っている。必然的に仕掛けが早くなるが、気持ちに積極性が出て、リズムを作ったのだろう」。

掛布氏は、さらに元阪神の同じ左打者だからこそわかる秘話を教えてくれた。「実は、6月の梅雨の時期になると、甲子園の浜風の吹き方が変わるんだよ。左打者に不利な逆風が、この時だけは、レフトからライトへ吹く。その風にボールを乗せるように打球を引っ張り出した」。8日のソフトバンク戦でも、右翼ボール際に打球を引っ張って逆転5号2ランを放ったが、本来の逆方向に打ち返すスタイルに加え、梅雨の時期にだけ甲子園に吹く“特別な風”を利用した長打を増やすことで相手バッテリーの心理に影響を与えることになっている。

例えば、カウント3-2から鳥谷にホームランの怖さがなければ、相手バッテリーは、「多少、甘くなっても大丈夫」という余裕を持って強気で攻めてくる。だが、そこで「もしかすれば一発がある」と警戒させれば、「少しでも甘くなると怖い」という恐怖感を与え、その重要な1球が、ボールとなって四球を拾ったり、手元が狂い失投に変わるケースが増える。交流戦の鳥谷には、そういう打率をアップさせるためのプラスの連鎖が生まれているのだ。

少々気は早いが、鳥谷は交流戦でつかんだ流れをそのまま、通常のペナントレース再開後も持続させ、自身初の首位打者を獲得する可能性はあるのだろうか? 現在、僅差で争っているライバルは、中日の大島洋平、ルナ、ヤクルトの山田哲人と、いずれも過去にタイトル実績のない選手ばかりで、本命らしき本命はいない。掛布氏は、「条件付きだが、可能性はゼロではないと思う」と見ている。

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最終更新:2015/6/20(土) 4:31
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