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医薬品のネット販売解禁 本当の狙いは処方薬

2014/6/12(木) 14:05配信

THE PAGE

 改正薬事法が6月12日に施行されたことで、これまでネット販売が禁止されていた第1類医薬品と第2類医薬品の販売が原則解禁となりました。薬のネット販売をめぐっては、推進したいネット事業者と、禁止したいドラッグストアや厚労省との間で激しい議論が行われてきました。最終的にどちらに軍配が上がったのでしょうか。

 これまで第1類と第2類の市販薬については、副作用が比較的強いといった理由から、ネットでの販売が禁止されていました。しかし対面販売の現場では、薬剤師が店舗に常駐していないケースも散見されるなど形骸化が指摘されていたほか、ドラッグストアが少ない地域ではネット販売が唯一の購入手段になっているところもあり、ネット販売の解禁を求める声が上がっていました。

 2013年1月には、最高裁が第1類と第2類の市販薬の販売を一律に規制した厚労省令を違法とする判決を出しました。これを受けて安倍首相は同年6月、安全ルールを確保した上で全種類の市販薬のネット販売を解禁すると発表していました。今回、施行される改正薬事法はこの一連の動きを受けたものです。

 改正薬事法では、勃起障害改善薬など一部の劇薬と、処方薬から市販薬に転換したばかりの薬品については、ネット販売解禁の対象外としましたが、市販薬の約99%がネット上で販売できることになりました。ネット事業者に対しては、実店舗を持つこと、閉店時用のテレビ電話を設置すること、患者の情報をこまめに入手することなどが義務付けられます。しかし、ネット事業者の多くがリアル店舗を併設しているほか、患者からの情報収集もすでに実施しているなど、大きな影響はないと考えられます。品目数という意味では、ネット事業者側の意向が反映された法律といってよいでしょう。

 しかし、もっと大きな視点で見ると必ずしもそうとは言い切れません。ネット事業者が本当に取り扱いたいのは、市販薬だけではなく処方薬だからです。市販薬の市場規模は6000億円程度ですが、処方薬の市場は10倍以上の規模があります。ネット事業者としては今回の法改正をきっかけに最終的には処方薬のネット販売にも乗り出したいと考えていたわけです。

 改正薬事法では、処方薬についてネット販売を全面的に禁止しています。ネット事業者側は、「処方薬は医師の処方箋がないと買えないものであり、ネット販売の安全性に問題があるという科学的な根拠はない」と主張していますが、今回この主張は受け入れられませんでした。今後は処方薬をめぐって、これまでと同じような論争が続くことになるかもしれません。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/1/15(金) 4:41
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