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麻生大臣「資産の5割以上を現預金で持っている先進国はない」──日本人の預金好き、株嫌い

2014/6/17(火) 15:00配信

THE PAGE

 麻生財務大臣が1600兆円の個人金融資産が有効活用されていないと吠えています。この問題はかなり以前から議論されており、麻生氏の発言は正論といってよいものですが、なかなか実現していません。

日本人の銀行預金好きは突出

 麻生氏は6月13日の記者会見において、個人金融資産に関して「気がついてみたら1600兆円の個人金融資産がたまりにたまって、そのうち880兆円を超える金が現預金です。資産の5割以上を現預金で持っているという先進国はないですよ」と発言しました。

 日本における2013年末の個人金融資産は約1650兆円あり、そのうちの874兆円が現預金となっています。米国における現預金の割合は13%、欧州は35%となっており、麻生氏が主張するように、確かに日本人の銀行預金好きは突出しています。

 政府はかなり以前から「貯蓄から投資へ」をキーワードに、株式への資金流入を促そうとしてきましたが、一向に成果は上がっていません。米国では個人金融資産のうち45%が株式となっています。中間層以下もたくさん株式を保有していますから、ひとたび株価が上昇すると、全国民にその恩恵が行き渡ります。

 しかし日本の場合には株式の保有比率は約14%しかなく、しかもほとんどが富裕層に偏っています。このためアベノミクスで株価が上昇しても、潤ったのは富裕層ばかりという状況でした。日本では大幅な賃上げが行われ、かつ物価が安定しない限り、庶民は経済政策のメリットを享受しにくいのです。

国民からの預金はどこに消えた?

 日本人が株式投資を敬遠する理由のひとつとして、麻生氏は一部の証券会社による強引な勧誘の影響について言及しています。確かにかつての証券会社はかなり強引な営業活動を行っており、一時は社会問題になったこともありました。しかし最近ではネット証券のシェアが拡大したこともあり、投資家の環境は劇的に改善しています。それでも、日本の株式市場における売買高の7割は外国人投資家というのが現実の姿であることを考えると、証券会社の営業スタンスだけが株嫌いの原因というわけではなさそうです。

 麻生氏は、タンス預金など寝ているお金が成長産業に回らなければいけないとも述べています。しかし、現実には880兆円のお金が遊んでいるわけではありません。銀行は預かったお金を運用しなければなりませんから、現金を余らせておくことはしません。バブル崩壊から20年、国民からの預金がどこに消えたのかというと、その多くは、国債という形で政府の借金になり、公共事業などを通じて国民に戻っているというのが現実の姿です。

 確かに、自国の株式を積極的に買わないという意味で、日本人は非常に珍しい民族といえるでしょう。ただ、その理由が、借金まみれの日本政府を信用できないからなのだとすると、問題は想像以上に深刻かもしれません。

(大和田 崇/The Capital Tribune Japan編集長)

最終更新:2016/2/6(土) 3:33
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