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ユニクロ値上げ、その理由と背景は?

2014/6/18(水) 6:00配信

THE PAGE

 これまでデフレの象徴と呼ばれていたユニクロ(ファーストリテイリング)がとうとう値上げに踏み切ります。原材料費の上昇などが原因といわれていますが、どのような背景があるのでしょうか?

 値上げは新商品への切り替えタイミングを利用して6月から順次行われ、全体的には5%程度の値上げになると見込まれています。値上げの直接的な原因は円安による原材料費の高騰です。繊維類などの輸入価格は、円安が始まる直前の2012年9月と比較すると15%以上値上がりしています。輸入物価全体では20%を超えています。原油価格の上昇などから国内の輸送費も高騰していますから、確かにユニクロのような事業者としては値上げをしないと、従来と同レベルの利益を確保できなくなっています。また同社の場合には、アルバイト店員の正社員化など人件費の増加要因も大きいでしょう。

 日本では、ユニクロに限らず、広範囲にわたってすでに実質的な値上げが行われています。食品メーカーなど、原材料費高騰の影響を受けやすい業種では、かなり以前から、内容量を減らすなどの措置が行われてきました。その意味でユニクロは、むしろ明示的に値上げに踏み切ったと考えるべきでしょう。

 その背景には、日本経済の構造転換があると考えられます。これまで日本では20年にわたってデフレが続いてきました。デフレ下では、高品質な商品を安く提供することが事業者の利益を最大化しました。しかし日本経済がインフレに転換したのだとすると、この価値観は180度変わることになります。よい商品を安く販売するのではなく、よい商品を高く販売する方が事業者の利益を最大化しやすいのです。

 ユニクロでは、こうした経済構造の変化を受け、付加価値が高い商品ラインナップにシフトしていく可能性があります。秋物以降、同社がどのような新商品を投入してくるのかで、その傾向はよりはっきりしてくるでしょう。

 もっとも、こうした路線転換が吉と出るか凶と出るかは今のところ分かりません。日銀の量的緩和によって順調に物価は上がっていますが、賃金の上昇がそれに追い付いていないからです。いくら物価が上がっても、賃金がそれを上回る状況にならなければ、実質的には賃下げとなり、消費者の購買力は低下してしまいます。もしそのような状態になってしまった場合には、高付加価値を前提にした販売戦略は逆効果になります。

 同社の4月の売上げは前年比3.3%増、5月は4.1%増と消費増税後も好調さを維持しています。同社では、増税後もある程度の消費は維持されると判断し、このタイミングで値上げに踏み切ったものと考えられます。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/2/1(月) 2:50
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