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秋田県知事発言「コメ作りをやっていると人口が減る」ってどういうこと?

2014/6/20(金) 8:00配信

THE PAGE

 「コメ作りをやっていると人口が減る」という秋田県知事の発言が話題になっています。農業に依存すると人口が減少するというのはどういうことでしょうか。

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 秋田県の佐竹敬久知事は、記者会見において「農業県ほど人口は減る」「農業県の中でもコメのウエートが大きいところほど人口減少は著しい」と発言しました。

 秋田県は2013年10月時点における、年間人口減少率が全国1位となっており、過疎化が大きな問題となっています。同じ期間で、秋田に次いで人口減少率が高い県は、青森県、山形県、高知県、和歌山県となっており、確かに農業の比率が高い県が並んでいます。一方、人口の増加率が高い県は、東京、沖縄、愛知、埼玉、神奈川となっており、沖縄を除くと、工業地域あるいは大都市圏ということになります。気候風土が似ている東北をとってみても、仙台という100万都市を抱え、大企業の工場や開発拠点が数多くある宮城県は全国でも6番目の人口上昇率となっています。

 秋田は農業県でもあり、農業に占めるコメの割合は61%と全国でトップレベルです。コメが作りにくい青森や和歌山などを除くと、確かにコメの比率が高い県の方が、人口減少率が比較的高いという傾向が見られます。

 コメ作りが盛んになると人口が減少することについて佐竹知事は、コメ作りにおける労働生産性の高さをあげています。秋田は干拓地が多く、広大なスペースで稲作を行うことができます。農業における労働生産性という意味では非常に効率の高い県ということができるでしょう。しかし労働生産性が高いということは、人手を必要としないということも意味しています。労働生産性を上げれば効率は上がりますが、人口は減ってしまうわけです。

 これまでこうした問題はタブーとされ、あまり公には議論されてきませんでした。しかし、労働生産性と人口の問題は避けて通ることができないテーマです。前向きな議論のきっかけを作ったという意味で、佐竹知事の発言は高く評価すべきものといえるでしょう。

 米作りをすると人口が減るからといって、やみくもに工場を誘致して人を集めればよいのかというと必ずしもそうとは限りません。高度成長期であれば大きな効果があったかもしれませんが、日本は急速な勢いで脱工業化が進んでいます。脱工業化で先を行く米国においては、工場ではなく、研究開発拠点やネット関連企業など知的産業を集約させた街では、工場を誘致するよりもはるかに大きな雇用が生み出されています。

 人口が減っても大規模で効率のよい農業を主な産業としていくのか、あくまで重厚長大型の工場を誘致していくのか、知的産業や学術機関を誘致していくのか、それぞれの地域に合った、特色のある産業政策が求められているわけです。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/12/18(金) 3:49
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