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コンビニおにぎりだけじゃない ノリ漁師らが宮城で「海苔サミット」

2014/6/26(木) 17:00配信

THE PAGE

 ノリを食べる機会が減った。コンビニおにぎりとしてなじみはあるが、ノリ漁師の顔は消費者からほど遠い。漁師が現状を打開しようと、全国から初めて一同に集まった。「高給な有名シェフはいますが、有名な漁師っていますか。作る人の価値が低いのは、おかしくないですか」。問題提起に会場はうなづく。ノリ漁師が動き出した。

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贈答品の「王様」……今は昔

 津波被害を受けた宮城県の漁師らが、全国初の「第1回海苔サミット」(実行委員長・津田大)を企画した。仙台市の東北大学に16日と17日の2日間、宮城県など5県12生産地から約30人の漁師が集まった。
 
 「ノリ全体の約4割が、コンビニで消費」との発表があった。贈答品で華やかな「王様」だったのは、今は昔。ギフト市場は苦戦している。「救世主」となったのが、コンビニおにぎりだ。西日本の漁師が「コンビニに頼らざるを得ない」と話すなど、現在の「王様」だ。しかしノリの価格は低迷し、漁師は後継者問題も抱える。被災地の宮城もノリ生産が盛んだが、震災前の体制には戻っていない。

漁師の価値「見つめなおして」

 一番議論になったテーマは、個人経営でなく複数の漁師が作業を共同で行う「協業化」についてだ。設備投資などのコストや労働時間が減り、品質が上がるなどのメリットがあげられている。

 「実際のところどうなのか」という質問に対し、様々な声が上がった。「今まで家族総出で寝る時間も惜しんで仕事してきたが、(仕事量が減り)親孝行できた」という声があった。一方で、「必ずしもうまくいっていない」「仲間の人間関係に影響される」という声も。議論は多岐にわたった。「浅草海苔」など高級ブランドへの挑戦や、「ノリだけでなく海の魅力を発信」する取り組みが紹介された。東松島市のノリ漁師、相沢太さんは「輸入ノリでなく、国産のおいしい海苔を食べてもらうことが大事だ」と力を込めた。

 漁師以外の参加者もいたが、声をそろえたことがある。「PRは他の人でもできるが、生産は漁師でないとできない」。漁師の「価値」を見つめなおしてほしいという大きな期待だ。昼間のプログラムが終了した後も、漁師らの熱い議論は深夜遅くまで続いた。津田・実行委員長は「この動きを濃くて大きいものにしていきたい」と話し、来年の開催を予定している。

「協業化」の成功事例

 協業化の優良事例としてサミットで指摘されたのが、宮城県の東松島生産組合だ。サミット後に話を聞いた。

 東松島市鳴瀬地区の5経営体で結成。津波で壊滅状態だったにも関わらず、新しい設備導入と分業制で再起した。その結果、塩釜市の塩釜神社で行われた乾のりの品評会で、昨年と今年の2年連続で最高賞を出し、栄誉ある「皇室献上品」となった。ノリの平均単価も上がったという。

 生産組合の代表は40代。若い世代が自発的に動き、父親世代との連携もしっかりしているという。生産組合の八木啓一さんは「売り上げが伸びれば手取り額も上がり、やる気が出る。若い世代にはよい制度ではないか」と話す。

最終更新:2016/2/13(土) 4:52
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