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サントリー、外部から社長招聘で変われるのか?

2014/7/3(木) 12:00配信

THE PAGE

 酒類大手のサントリーホールディングスは、10月1日付でローソン会長の新浪剛史氏を社長に迎える人事を発表しました。典型的なオーナー企業であったサントリーにおいて、創業家以外の人物が社長に就任するのは初めてのことになります。これにはどんな背景があるのでしょうか?

 サントリーは非常に歴史のある会社です。創業者である鳥井信治郎氏が1899年に「鳥井商店」を創業して以来、ずっと創業一族によるオーナー経営を続けてきました。トヨタやパナソニックをはじめとする多くのオーナー企業は、会社の規模拡大に合わせて株式を上場し、創業家による株式の独占保有をやめています。しかしサントリーはこれほどの規模になっているにも関わらず、いまだに非上場を貫く珍しい会社です(傘下のサントリー食品インターナショナルは上場していますが、本体は上場していません)。

 しかしグローバル化の流れは同社に対しても根本的な体質転換を迫っています。縮小する国内市場にだけ依存していては、継続的な成長を見込むことができません。同社は今年5月、1兆6000億円もの資金を投入して、米国の酒類大手ビーム社を買収しました。ビーム社はバーボンウイスキーである「ジムビーム」などのブランドを持つ大企業で、サントリーはこのビーム社を足がかりにグローバル戦略に打って出る方針と考えられます。

 ここで白羽の矢を立てたのが、ローソンの新浪氏です。新浪氏は三菱商事を経て2002年にローソン社長に就任。海外展開を加速させるなどの実績を残しました。ローソンはサントリーにとって有力な取引先ですから、新浪氏とサントリーの佐治信忠会長兼社長は仕事上ではかなりの付き合いがあります。佐治氏は時間をかけて新浪氏を説得したといわれています。

 サラリーマン経営者として頭角を現した人物が、オーナー企業にトップとして招聘されるケースはこれまでもありました。しかし、サントリーほどの著名企業では非常に珍しいことといってよいでしょう。ただ一般的にオーナー企業は非常にクセのあるところが多く、外部からの招聘がうまくいくケースといかないケースにくっきりと分かれてしまいます。

 サントリーは子会社だけが上場しており、資本市場のルール上、あまり好ましい状態にあるとはいえません。外部出身者である新浪氏へ経営がバトンタッチされたことによって、最終的には本体の上場も市場から期待されることになる可能性が高いと考えられます。今回の招聘がうまくいくのかは、サントリーの大株主である創業家が、思い切って新浪氏に経営を任せられるのかにかかっているといえそうです。


(大和田 崇/The Capital Tribune Japan編集長)

最終更新:2015/4/9(木) 4:35
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