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ネットでオールドメディアが圧勝する理由

2014/7/8(火) 18:00配信

THE PAGE

 メディア大手の角川書店との合併が決まっているドワンゴの川上量生会長が、メディアの将来について、日経や朝日といったオールドメディアが圧勝すると発言して話題になっています。

 川上氏は、ダイヤモンドオンラインのインタビューにおいて「紙のメディアがネット上でどう収益モデルをつくるのかが問われていますが、日経はずば抜けている」と指摘。有料会員制に移行した日経のビジネスモデルを高く評価しました。その一方で、最近話題となっている「スマートニュース」や「グノシー」といった、スマホ系のニュースキュレーションサービスについては、「どこが作っても、あの手のサービスは一緒ですよ」と将来有望ではないと指摘しています。

 ドワンゴは、典型的なオールドメディア企業であるKADOKAWAと合併し、川上氏はそのトップに就任することが決まっています。同氏の発言には、大手上場企業のトップとして、日経や朝日など主要媒体と良好な関係を構築しておきたいという思惑があると考えられますが、一方で、川上氏の指摘は日本のネット・ビジネス環境における核心を突いているともいえます。

 ニュースキュレーションサービスは、基本的に自分ではコンテンツを作らず、他人が作ったコンテンツを集めて「さや抜きするモデル」(川上氏)を採用しています。米国のようにコンテンツを提供する媒体が無数にあれば、それでも問題ないのですが、日本の場合、コンテンツを作成しているのは、ほとんどが新聞社や雑誌社というごく少数のオールドメディアです。そうなってくると、各キュレーションサービスは差別化を図るのが難しくなり、結局、どのサービスを覗いても、同じ記事が並んでいるという状況になりかねません。

 川上氏によれば、新興のネットメディア対オールドメディアの勝負では、取材力などに差があるオールドメディアが圧勝するとしています。

 もっとも新聞に代表されるオールドメディアがこれだけの取材力を維持できているのは、再販制度や記者クラブといった政府の保護によって寡占状態が維持され、一定の収益が確保されてきたからです。

 今後はそうした特権も少なくなってくる可能性が高いわけですが、現時点において新聞や雑誌には、中高年層という圧倒的な顧客基盤があります。彼等の購買力はいずれ消滅するものの、それまでには20年近くの時間がかかると考えられます。現在の顧客基盤を失った後も、影響力を持ち続けられるのかは分かりませんが、少なくとも、それまでの間は、コンテンツを握っているオールドメディアは有利な立場にいるのかもしれません。

(大和田 崇/The Capital Tribune Japan編集長)

最終更新:2016/1/17(日) 2:59
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