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紹介状なしの大病院受診は負担増に ── 厚労省が具体的な検討を開始

2014/7/10(木) 7:00配信

THE PAGE

 これまでは紹介状がなくても気軽に大病院を受診することができましたが、これからはそうもいかなくなりそうです。厚生労働省は、紹介状を持たずに大病院を受診した患者に新たな負担金を求める制度の導入について具体的な検討を始めました。同省の審議会で議論し、2016年度の導入を目指します。

 現在の制度では、基本的にあらゆる医療機関を自由に受診することが可能となっています。ちょっとした風邪でも、大病院の外来に行くことができるわけですが、この制度がそろそろ限界に達しつつあります。ごく軽い病気でも大病院を受診する人が多いため、大病院の本来の職務である重篤な患者のための治療に十分な労力を割けなくなっているのです。

 厚労省ではこうした事態を回避するため、基本的に紹介状がない受診については、初診料を自己負担する方向で検討を進めています。紹介状がない場合には、上乗せ料金となる制度がすでに存在していますが、これをさらに拡大しようというものです。

 気軽に大病院を受診できる国は実はそう多くありません。例えば英国の場合には、まずはGPと呼ばれるかかりつけ医を受診し、そこからの紹介状があって初めて大病院を受診することができます。日本でもこれと似たようなかかりつけ医制度を普及させようとしており、今回検討されている措置もその延長線上にあると考えてよいでしょう。

 大病院では、外来の8割が紹介状を持たない患者といわれています。その多くがちょっとした病気で、念のため大病院を受診していると考えられます。日本は国民皆保険制度が完備されており、原則として3割の自己負担であらゆる治療を受けることができます(一定金額以上の場合には、補助があり実質無料となります)。

 しかし、保険医療だからといって、皆があまりにも気軽に大病院に通ってしまうと、重篤な患者のケアが手薄になる可能性があります。一旦かかりつけ医を通すという方法は合理的といえるでしょう。

 もっとも、こうしたかかりつけ医制度を採用している国では、それに伴う問題も発生しています。英国では、能力の低いかかりつけ医が誤診してしまい、手遅れになるケースも出ているようです。しかしそれは全体からみれば、ごくわずかなケースでしょうし、かかりつけ医を選択できるようにすれば、多くの場合、その問題も回避が可能と考えられます。皆保険の制度を維持するためにも、紹介状なしの大病院受診制限は避けては通れないテーマと考えられます。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/1/26(火) 2:33
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