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人手不足が経営を直撃、大阪商工会議所の雇用状況緊急調査で浮き彫りに/大阪

2014/7/14(月) 11:38配信

THE PAGE

 アベノミクス効果で景気浮揚への期待が高まる半面、人手不足から受注増に対応できないばかりか、人件費アップが利益を飲み込んでしまいかねないと心配する企業が多いことが、大阪商工会議所の雇用状況緊急調査で浮き彫りになった。長引く不況で、企業が限界までマンパワーを絞り込んだため、景気変動に対する「ため」が弱くなり、好景気のきざしをすばやくとらえて成長する瞬発力が低下しているようだ。

6割超の企業が人手不足を指摘

 この雇用状況緊急調査は衝撃的な調査結果を引き出した。調査は6月中旬、大阪商工会議所の会員1707社を対象に実施され、有効回答は約2割の387社。従業員の過不足状況を聞くと、3割の企業が「現在、不足している」と答え、「現在は不足していないが、今後不足する懸念がある」(33・3%)と合わせると、6割超の企業が人手不足を指摘している。

 人手不足はすでに経営を直撃し始めている。約2割の企業が「人手不足ですでに支障が生じている」と回答し、「今のところ支障は生じていないが、今後生じる懸念がある」と答えた企業が、7割を超えた(73・1%)。つまり、ごく一部を除いた大半の企業が、人手不足が経営に深刻な事態を招きかねないと不安視していることが分かった。

 具体的な支障の内容を挙げてもらったところ(複数回答)、「生産量・サービス量の減少」(51・5%)、「製商品・サービスの品質低下」(35・7%)、「工期・納期の遅れ」(32・2%)の順に高かった。「新規事業の抑制・中止・延期」「研究開発・販路開拓の抑制・中止・延期」もそれぞれ2割を超え、人手不足が企業の成長戦略に欠かせない先行投資を鈍らせる要因となりつつあることもうかがわせる。

売り上げが伸びても利益につながらない

 この調査に伴い、企業から次のような生の声が届いた。
 「仕事は多いが、人手が足りないので、受注してしまうと、工期に間に合わない。信用を落とすことになるので、仕事を断っている」(建設業)
 「新しい人材を採用しても、育つまで時間がかかる。検品部門が弱くなり、不良率が上がらないか心配だ」(製造業)

 工期の厳守やすぐれた品質管理など、日本が誇るものづくりの底力が、人手不足で根底から揺らぎかねない状況だ。「人材が確保できないと、技術ノウハウが継承できない」「人手不足のしわよせが現役社員に集中してしまう」という重要課題の指摘も相次いだ。

 賃上げなどの待遇改善に前向きな企業を対象に、待遇改善の経営への影響も聞いた。すると、「人件費はアップするが、それを上回る収益好転が期待できる」は14・0%で、「人件費アップと収益好転とがほぼ均衡する」が51・0%だった。
 
 一方、「人件費のアップ分を、収益好転ではカバーできない」と答えた企業も、3割を超えた(33・4%)。資本金1千万以下の中小企業に限ると、半数(50・9%)から「カバーできない」の回答が返ってきた。がんばって働いても、もうからないというわけだ。

 近藤博宣・大阪商工会議所経済産業部長は「景気の上昇にさほど勢いが感じられない上、売り上げが伸びても、必ずしも利益につながらない。増収減益基調です。人手不足が企業活動全般にどんな影響を及ぼすのか、注視する必要がある」と話している。待望していた好景気の到来を、手放しでは喜べない。そんな従来の経済理論では対応しきれない事態に直面しているのだろうか。

最終更新:2014/7/14(月) 11:38
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