ここから本文です

市職員が生活保護を自腹で払ったって? その背景は?

2014/7/16(水) 7:00配信

THE PAGE

 兵庫県加古川市は、市の職員が生活保護の支給業務を怠り、自腹で申請者に30万円を支払っていたと発表しました。その職員は「業務が忙しく、事務処理が面倒になった」と話しているそうです。一種の自爆営業のような話なのですが、この件からは、日本の官組織における様々な側面が見えてきます。

 担当職員は生活保護支給の申請を受けたものの、事務手続きをせず放置し、申請者に対しては、昨年7月から今年6月にかけて数回にわたって自腹で支給していました。役所には「申請者が申請を取り下げた」と虚偽の報告をしていたそうです。

 市では、なぜ職員が申請取り下げという虚偽の報告をしたのかについて詳しい説明をしていませんが、背景には生活保護の支給をめぐる厳しい財政事情があると考えられます。基本的に政府や地方自治体としては、財政難から生活保護を支給したがりません。しかし条件を満たす人に対しては、支払いの義務がありますから、窓口の職員はそこで板挟みになってしまいます。

 それにしても30万円もの金額を自腹で支払っていたというのは少々驚きです。いくら業務が忙しく面倒だったからといっても、これだけの金額を自腹で払って済ませられるというのは、やはり公務員の待遇が極めてよいことの裏返しといえるでしょう。

 実は今回と同じようなケースが、他の自治体でも発生したことがあります。税金で運営する官の業務という点を考えると、組織の運営体制にはいろいろと課題がありそうです。

 今回は、たまたま、本人が自腹で払っていますから、税金が不正に使われたわけではありません。しかしこのような事態が発生したということは、業務が面倒であれば、それを放置したり、ごまかすために書類を偽造することがあり得るということを意味しています。

 事態が発覚したのは、生活保護受給証明書の発行依頼の電話がきっかけだったということですから、役所内部で組織的に不正をチェックすることはできていなかったようです。

 税金を使う仕事は「結果よければすべてよし」という訳にはいきません。きちんとした手順を踏んで業務を遂行したのかが重要なポイントになってきます。組織として業務内容をチェックし、特定の人物に業務が依存することがないように工夫する必要があります。こうした体制ができていないと、最終的には汚職の温床となったり、外部からの不当な介入を招く余地が出来てしまいます。今回のケースは、役所の仕事には様々な手続き上の盲点があることを浮き彫りにしたといえるでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/8/23(日) 4:56
THE PAGE