ここから本文です

市中に出回っているマネーの伸びが鈍化、これってどういうこと?

2014/7/18(金) 10:00配信

THE PAGE

 このところ市中に出回っているマネーの伸びが鈍化しています。日銀が9日に発表した6月のマネーストック(M3)は前年同月比で2.4%増の1187兆円でした。伸び率の減少は5カ月連続です。

 マネーストックとは市中に流通するマネーの総量のことを指しています。日銀は現在、国債などを買い取って大量の資金を金融機関に供給する量的緩和策を実施しています。量的緩和策の狙いのひとつは、金融機関の融資拡大とそれに伴う企業の設備投資の活性化です。

 量的緩和策の実施によって、金融機関の日銀当座預金には資金が積み上がっていきますが、そのままでは銀行はお金を遊ばせるだけになってしまいます。このため、銀行は融資先の開拓に力を入れるようになり、市中にお金が出回るようになるという仕組みです。

 日銀は、昨年4月に量的緩和策をスタートして以降、今年の6月までにマネタリーベースを約83兆円増加させました(マネタリーベースとは日銀が発行する通貨の総量です)。これにともなってマネーストックは約35兆円増加し、金融機関による融資は9兆円ほど伸びています。83兆円の資金を投入して、融資が9兆円伸びたという結果については評価が分かれるところだと思いますが、伸び率はともかく、絶対額については、マネーストック、融資ともに増加が続いているわけです。

 ただ、こうした融資の増加が積極的な設備投資とセットになっているのかというと、そういうわけでもなさそうです。内閣府が発表した5月の機械受注統計では、主要指標である 「船舶・電力を除く民需」(季節調整済み)が前月比でマイナス19.5%と大幅な減少となってしまいました。機械受注は設備投資の先行指標といわれていますから、国内の設備投資は完全に復活したとはいえない状況です。

 日本企業は過去最高益を更新していますが、手元に150兆円の現預金を持ったままです。仮に設備投資をするにしても、ある程度は自己資金でカバーできてしまいますから、融資が次々に拡大してくるというサイクルにはなかなか到達しません。市場の拡大が見込めない国内には積極的に投資を行う対象がなく、工場の海外進出も一段落していることから、企業は有望な投資先の確保に苦心しているとの見方もあります。もしそれが事実であれば、銀行の融資はそう簡単には増えないでしょう。
 
(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2014/12/18(木) 3:58
THE PAGE