ここから本文です

国税庁が富裕層専門チームを作る ── 効果はあるか?

2014/7/19(土) 7:00配信

THE PAGE

 国税庁が超富裕層の人たちの情報を専門的に集めるチームを発足させたと報道されています。国際的な税逃れを防止するための措置なのですが、果たして効果はあるのでしょうか?

 新聞報道によると、超富裕層のプロジェクトチームは、東京、大阪、名古屋の各国税局に設置され、富裕層の実態を把握し、税務調査のノウハウを蓄積すること目的としているとのことです。対象となる富裕層の基準は明らかではありませんが、数十億円規模の資産を持ち、積極的な投資活動を行っている会社役員や投資家などを想定しているようです。

 日本では初めての試みということなのですが、実際に税収増という意味で大きな効果があるのかは今のところ不透明です。というのも日本には超富裕層と呼ばれる人がほとんどいないからです。

 日本で5億円以上の金融資産を持つ富裕層はわずか5万世帯しかありません。さらに今回の特別チームの対象となる資産数十億円規模の超富裕層ということになると、数えるほどしか存在していないはずです。しかも、その多くは、楽天の三木谷氏やユニクロの柳井氏といった上場企業のオーナー社長で、自社の株式が資産の大半を占めています。上場企業のオーナーは、一定の情報を開示しなければならず、脱税はもちろんのこと、節税策ですらとりにくい環境にあります。あまり目立たず、かつ自由にお金を動かせる数十億円規模の資産家ということになると、ごくわずかでしょう。

 また日本はよい意味でも悪い意味でも、市場がグローバルではありません。欧米やアジアでは、他国で巨額の所得を得ていながら、自国ではほとんど所得を申告しないという人がたくさんいますが、日本の富裕層の多くは日本国内でお金を稼いでいます。現在数十億円の資金を動かしている人も、多くが日本国内で所得を得て、税金を支払った後のお金を運用しているだけです。そうなってくると、巨額の税逃れを画策しているのは、子供を海外に移住させて相続税を払わずに済ませようと考えている人くらいかもしれません。

 確かに、海外での運用益を誤魔化している一部の富裕層から追加で徴税することはできるかもしれませんが、あまり多くの成果は期待できないでしょう。

 むしろこうしたチームを発足させる目的は、税収増というよりも、もっと違うところにありそうです。現在、消費税の8%への増税に続き、10%への増税も検討されています。しかし増税がこれで終わるわけではありません。日本の財政事情を考えれば、政府は今後、相続税の大幅増税や各種の資産課税を打ち出してくるでしょう。超富裕層の税逃れを徹底的に調べるという今回のチーム発足は、相次ぐ増税に対する国民感情への対策という面が大きいと考えられます。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/6/16(火) 4:36
THE PAGE