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昔の敵は今日の味方? アップルとIBMが提携した意味

2014/7/22(火) 16:00配信

THE PAGE

 かつては敵対関係にあり激しく争っていたこともあるアップルとIBMが提携することになりました。両社は2014年7月15日、企業向けの携帯端末分野で提携すると発表。企業向けに100を超えるスマホ用のアプリを開発し、アップルのiPhoneやiPad上で利用できるようにします。

 今回の提携は短期的にはアップルに、中長期的にはIBMにメリットがあります。

iPhoneやiPadは企業が業務用に一括導入するよりも、個人用途としての購入が多いと考えられます。利用者にとってみれば、業務用と個人用の端末を使い分けるのは面倒ですから、個人用の端末に業務用アプリをインストールしたいところです。しかし企業としては、情報を一元管理し、セキュリティ対策を万全にしたいので、個人用の端末に業務用アプリをインストールすることを望みません。しかし、スマホの急激な普及は、こうした文化を徐々に変えつつあります。米国では、個人用の端末に業務用アプリをインストールすることを認める企業が増えてきています。

 業務用にiPhoneやiPadを使えるようになれば、今まで、仕事では使えないことを理由に購入をためらっていた層にも販売が広がる可能性があります。iPhoneの販売はそろそろ頭打ちと言われますから、アップルとしては新しい販路開拓の突破口となるわけです。

 一方IBMにとっては、今後さらに拡大するクラウド市場を確実に取り込むことができるようになります。IBMはかつてハードを売る会社でしたが、今ではクラウドをベースにした総合的なシステム・サービスを提供する会社に変貌しています。これまで、ほとんどの顧客はパソコンを使ってIBMのシステムを利用していましたが、今後もそうであるという保証はありません。

 パソコンを使った業務用システムは頭打ちになり、今後はスマホをベースにした業務用システムが伸びてくる可能性が高くなっています。このような市場の転換点においては、ちょっとしたタイミングの遅れが致命的な結果になる可能性があります。つまり、スマホ向けに特化したクラウド型ビジネス・ソリューションを提供する他社にシェアを奪われる危険性があるわけです。スマホで業務を行うことがそれほど普及していないうちに、iPhoneやiPad向けのビジネス・アプリを大量に提供しておけば、業務用システムのスマホ・シフトが本格化した際にも、IBMがその市場を取りこぼす可能性が少なくなります。

 現在主流のパソコンはもともとIBMが開発したものです。アップルは異なる仕様のパソコンを販売していましたから、IBMとアップルはいわば敵対関係にありました。しかし、IBMはパソコンからクラウド・サービスに、アップルは同じくパソコンから携帯端末にそれぞれ経営戦略をシフトしたことから、今回、両社が提携する余地が生まれたわけです。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/7/17(金) 4:33
THE PAGE