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掛布が語る 阪神と巨人 潜在的な力の差

2014/7/24(木) 8:09配信

THE PAGE

2つの紙一重のプレーが明暗を分けることになった。7月23日、甲子園で行われた阪神―巨人戦。2-2の同点で迎えた9回、先頭の亀井がライト前ヒットで出塁すると、巨人ベンチは鈴木を代走に送った。鈴木は、能見―梅野のバッテリーに揺さぶりをかける。カウント1-1からスチールを仕掛けた。能見の投球は、ワンバウンドとなったが、梅野がそれをうまく処理をして、素早いスローイング。ワンバウンドとなったが、カバーに入った上本のグラブへストライクとなって収まった。タイミングは完全にアウトだった。

上本は、鈴木をやや待つ形にまでなった。しかし、鈴木のスライディングテクニックが一枚上手だった。鈴木は、キャッチャーから見てセカンドベースの一番遠い右端を狙って滑ってきた。“世界の福本豊さん”から「セカンドベースの一番遠くを狙うんや」という盗塁の滑り方のコツを聞いたことがあったが、“35歳の走り屋”は、この大事な局面で、そういう高度なテクニックを使ってきた。滑る場所が遠いので、上本は、必然、追うようなタッチとなり、足が先にベースに触れたとセーフの判定。上本は怪我を恐れず、鈴木に向かって倒れこんでいくような体を張ったタッチプレーでいくべきだった。勝負の土壇場で、上本と、鈴木の経験の差が出てしまった。

結局、二死満塁とピンチは広がって、代打・矢野の初球に能見のフォークが、再びワンバウンドとなった。梅野は、それを後逸して鈴木が決勝のホームを踏むことになる。記録はワイルドピッチで決して梅野を責めることのできないプレーだった。だが、そこまでミットより先に、まずフットワークで体を動かしてボールを前に落としていた梅野が、このときに限って、ミットから先に動いて体の動きが一歩遅れた。小さいがとても大きなミス。梅野の怖いもの知らずの若さが、ここまで何度もチームを救ってきたが、若さゆえの未熟さが、悲しいかなチームの足を引っ張ってしまうことになった。

紙一重とも言える、2つの技術的なミスである。だが、私には、この小さな差が、阪神、巨人の潜在的な力の差に感じてしまう。巨人の原監督の采配については、「動きすぎ」などの批判があるが、この日のゲームを見る限り、代走、代打と、適材適所に、次から次へと切り札を切ってくる巨人の潜在的な層の厚さを思い知らされた。代走から左翼の守りに鈴木が入ることによって外野の守備力は落ちないし、同じく代走から三塁の守りに入った寺内も、代打・新井貴の三遊間への難しい内野ゴロを素晴らしい一歩目のスタートでさばいた。9回も、左には山口、最後はマシソンに継投する磐石の布陣。後半戦最初の首位決戦を阪神は、2勝1敗と勝ち越してゲーム差を2.5に縮めたが、「視界に捉えた」と表現するには、まだまだ厳しいと私は見ている。

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最終更新:2015/4/16(木) 4:02
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