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「非正規労働者の正社員化へ法案提出目指す」と厚労相、正社員化は進むのか?

2014/7/25(金) 7:00配信

THE PAGE

 田村厚生労働大臣は、若い世代の正社員化を促す新しい法案を2015年の通常国会に提出する考えを示しました。正社員化の促進策はうまく機能するのでしょうか?

 法案の具体的内容はまだ明らかではありませんが、正社員化を進めた企業に対して助成金を出すことや、若者の離職率に関する情報公開、スキル向上の支援策などが検討されています。しかし正社員と非正規社員という問題の根本を考えると、このような施策がうまくいくのかは微妙なところでしょう。

 そもそも、「正社員化を進めるべきである」という議論が生まれているということは、正社員と非正規社員の間に、かなりの格差が存在しているということです。これは逆に考えれば、解雇が非常に困難など、正社員の待遇があまりにも良すぎるため、企業が正社員を増やすことを躊躇し、そのシワ寄せが非正規社員に及んでいるということになります。

 企業は経済原理に基づいて活動していますから、賃金に回すことができる金額は、各社の経営状況によってほぼ自動的に決まってしまいます。正社員は容易に解雇できず、定年まで身分を保障し、高額の退職金を支払う必要があるということになると、企業は正社員を最小限にし、非正規社員をバッファーにしてリスク回避をすることになります。ここで、単純に正社員化を法律で促したとしても、企業は正社員の採用を最小限に抑えるはずであり、既存の正社員の負担を増やすという形で対処すると考えられます。結果的に非正規社員の人が大量に正社員化される可能性は低いでしょう。

 最近ではだいぶ雰囲気が変わってきたものの、大企業を中心に、今でも、新卒一括採用、終身雇用という考え方が主流です。一旦会社を出てしまうと転職先が見つからないという不安があるため、人材はなかなか労働市場に出てきません。

 企業や市場は生き物ですから、必要な人材やスキルは常に変わります。必要に応じて適切な人材を柔軟に雇える方が企業は活性化します。また、労働者にとっても、一生、同じ会社に勤められる保証はないものの、会社が倒産したり、解雇されたとしても、能力に応じてすぐ別の仕事が見つかるという社会の方が、むしろ安心して仕事ができると考えられます。

 新しい法案が、転職市場の整備やスキル向上の支援策などにフォーカスされるのであれば、こうした環境に一歩近づくことになるかもしれません。しかし、企業に対して単純に正社員化を求めるだけの内容にとどまってしまった場合には、効果は限定的となるでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/1/22(金) 4:12
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