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政府はなぜNISAの上限拡大に積極的なの?

2014/8/6(水) 17:00配信

THE PAGE

 政府が「少額投資非課税制度(NISA)」の上限拡大に乗り出す方針を明らかにしました。これにはどのような狙いがあるのでしょうか?

 NISAは、投資元本が年間100万円までならば、株や株式投信の値上がり益、配当・分配金にかかる税金が5年間非課税になるという制度です。NISAの口座数は3月末時点で650万3951口座となっており、投資総額は1兆円を超えています。菅官房長官は講演で、100万円の上限を200万円程度まで拡大することを念頭に、制度改正を実施したいと述べています。

 政府がNISAの上限拡大に積極的なのはズバリ株価対策として有効だからです。安倍政権の発足と前後して日本の株価は順調に上昇してきましたが、円安の進展が一服してしまうと、株価も伸び悩むようになってきました。今年の秋から冬にかけては消費税の10%増税の決断が控えていますし、来年、あるいはもっとも最短では、今年中に解散総選挙を実施するという噂もあります。政府としては株価を高く維持し、好景気を演出しておきたいところです。

 政府がこうした意向を持っていることは、日本の公的年金の株式シフトとセットになっていることからも、うかがい知ることができます。菅氏はNISAの上限拡大と合わせて、公的年金改革の前倒しについても言及しています。これは公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用体制を見直し、国債が中心であった運用を株式にシフトさせるというものです。

 現在、GPIFは130兆円ほどの資金を運用しており、このうち国内株が占める比率は17%程度です。運用方針見直し後は、国内株の比率が20%から22%程度に高まると予想されており、金額にすると4兆円から6.5兆円の資金が株式市場に流れ込む計算になります。

 NISAに口座を開設している個人投資家は、本来の趣旨とは異なっていますが、多くが資金に余裕のある高齢者です。上限を100万円から200万円に拡大すれば、追加の資金が株式市場に入ってくる可能性がありますが、上限拡大には法整備が必要であり実施は2016年以降になります。まずは、GPIFによる株式シフトで株価をテコ入れし、その後、NISAの上限拡大で個人投資家の参入を促す流れと考えられます。

 問題は一連の政策を実施した後も、好調な株価を維持できるかという点に集約されますが、この部分については、安倍政権の成長戦略次第ということになるでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/11/19(木) 4:25
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