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初のロボット白書まとまる、日本のロボット産業が世界をリードし続けるカギは?

2014/8/10(日) 8:00配信

THE PAGE

 経済産業省所管の独立行政法人である新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は8月1日、日本で初めてとなるロボット白書2014をまとめ、その全文を公開しました。ロボットは今後、どのように発展していくのでしょうか。

 最近、ロボット技術に関する話題をよく耳にするようになっていますが、実はロボットには明確な定義というものがありません。ソフトバンクが6月に発表した人型ロボット「Pepper」は非常に分かりやすい例ですが、Googleが実用化に向けて開発を進めている自動車の自動運転装置もロボットですし、考えるコンピュータである人工知能も広い意味ではロボットに分類されます。

 ロボットは、こうした幅広い技術の集合体として、私たちの生活の中に浸透してきており、その進化は日進月歩です。逆に狭い範囲で定義をしてしまうと、今後の発展を阻害してしまう可能性もあります。

 この点において、今回発表されたロボット白書は、ロボット技術のこうした現状を的確に反映したものとなっています。白書では、ロボットの定義について、状況は日々刻々と変化するものとし、あえて、明確にしませんでした。目に見えやすい部分に範囲を限定し、その部分にだけ予算を投入しがちであった日本のこれまでのスタンスを考えると、これは高く評価してよいでしょう。

 現在のロボット市場は、従来型の産業用ロボット(工場で使われる)がほとんどを占めており、市場規模は1兆6000億円程度です。しかし2035年には市場規模は10兆円に拡大し、半分以上がサービス分野で占められると予想されています。同じロボットでも今後は使われる分野が大きく変わってくるのです。

 日本はこれまで産業用ロボットの分野では圧倒的なシェアを誇ってきました。しかし、分野が変わるということになると、日本が引き続き、その優位性を継続できるかどうかは保証の限りではありません。

 白書では、日本のロボット産業が国際的な競争力を維持していくためには、個々の技術を開発するだけでなく、それらを組み合わせて顧客の問題解決に結びつけるシステム・インテグレータとしての能力が重要になるとしています。さらには、世の中のニーズを汲み取り、複数のシステム・インテグレータのサービスを使って全体をデザインするサービス・インテグレータの機能が必要になるとも指摘しています。

 こうした概念は、従来の日本型製造業に欠けていた視点といえます。日本が持つ要素技術はもともと高い水準ですから、白書が描くような産業形態を、市場メカニズムを使って適切に構築することができれば、日本のロボット産業は引き続き世界をリードすることができるでしょう。

(大和田 崇/The Capital Tribune Japan編集長)

最終更新:2015/8/12(水) 4:41
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