ここから本文です

とうとう上期初の経常収支赤字、日本は大丈夫なのか?

2014/8/13(水) 7:00配信

THE PAGE

 財務省によると、2014年上半期の経常収支は5075億円の赤字となりました。上半期として赤字になるのは、統計が比較できる1985年以降では初めてのことなのですが、これはどういうことなのでしょうか。

 経常収支とは、国の最終的な収支のことを指します。簡単に言うと、貿易収支に所得収支(投資による収支)を加えたものです。要するに、貿易で儲けた額と投資で儲けた額の合計ということになります。日本は現在、貿易は赤字、投資は黒字という状態ですが、貿易の赤字が投資の黒字を上回っているので、最終的な収支は赤字になったわけです。

 赤字と聞くと、良くないイメージがありますし、実際、経常収支が赤字に転落したことで、危機的な状況になるという論調も一部には見られます。しかし、国際収支の黒字・赤字は、マネーの国際的な出入りを示しているに過ぎず、経常赤字であることが、直接、その国の経済にとってマイナスになるわけではありません。経常収支がその国に与える影響は、その時の状況によって異なるのです。

 日本は、これまで一貫して工業製品の輸出で国を支えてきましたから、基本的に経常収支が黒字であることを前提に経済の仕組みが出来上がっています。しかし日本の製造業は以前のように大きな利益を上げることができなくなっており、円安になっても輸出は一向に増える気配がありません。日本に限らず、かつての英国や米国など、製造業で圧倒的な力を持っていた国は、例外なく、新興国に追い付かれ、製造業の競争力を失っています。英国は米国に追い付かれ、米国は日本に追い付かれ、日本は韓国や中国に追い付かれているわけです。

 そうなってくると、日本は、かつての先進工業国がそうしてきたように、工業製品の輸出を前提にした経済から、サービス産業や知識産業を中心としたより付加価値の高い経済に転換していく必要があります。日本と並ぶ製造業大国と思われているドイツも、一方では、世界に冠たる金融大国であり、世界中から資金と人を集めています。

 上半期の経常赤字は特殊要因もあるので、慢性的な赤字となるのかについては、もう少し様子を見る必要があります。しかし、日本は、韓国や中国とは異なり成熟国家ですから、近い将来、経常収支が慢性的赤字になることはほぼ確実です。大事なのは、経常赤字そのものを問題視することではなく、経常収支の変化に合わせて、経済の仕組みを柔軟に変えていくことです。経常収支が赤字になっているにも関わらず、旧態依然の経済システムを温存した場合には、様々な問題が発生するかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/2/13(土) 4:09
THE PAGE