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L字型、ナイキ型……実はいろいろある「●●型回復」と、奇跡のV字型回復劇を振り返る

2014/8/16(土) 9:00配信

THE PAGE

 「恋の破局の危機からV字回復するテクニック大公開」「××観光V字回復のための妙案あり」──などと使われる「V字(型)回復」という言葉。マイナスからプラスに大転換することを表すのですから、目にして、何ともうれしくなる言葉ですね。

 今や私たちの日常にすっかり溶け込んでいますが、この「V字型回復」は、急下降して大赤字だった企業の業績が急回復して大変な利益が上がったり、急下降していた景気が急回復するときなどに、長く世界で用いられてきた言葉です。英語ではV-shaped recoveryもしくはV-shaped turnaroundと言います。
 
 「サインはV」「Vサインが灯った」などのように使われるVICTORY(勝利)マークのVであると思い込んでいる人もいるようですが、これはV字の形状のこと。勝利のVサインではありません。

「●字型回復」には「U」「W」「L」もある

 実は「●字型回復」には「V」だけでなく、「U」「W」「L」もあるのをご存じでしたか?

 ・U字型回復(U-shaped recover)…弱々しいけれど、緩やかに回復する
 ・W字型回復(W-shaped recovery)…いったん成長軌道に乗るものの、先細りになり、再び底を打ち、また回復していく
 ・L字型回復(L-shaped recovery)…急下降し、底入れしたけれど、上昇せずに横這い状態が続く

 というものです。

 ちなみに栃木県出身の漫才コンビ、U字工事さんの名前は、高校の同級生が黒板に書いた「U字溝」の看板に由来するとか。U字は鋭角ではなく、穏やかなカーブを描いていますから、二人のほのぼのとした人柄をよく表しているようです。

「ナイキ型」や「ルート(√)型」も

 また、アルファベットのほかにも「●●型回復」はいろいろあります。

 「ナイキ型回復」(Nike shaped recovery)は、スポーツ用品メーカーNIKEのシンボルマークから来ています。底打ちから、最初は緩やかに反転し、それから上昇路線を辿り、徐々に加速していくもの。本当にそんな使い方をするの?と思った方がいるかもしれませんが、2010年3月30 日、太平洋セメントの徳植桂治社長(現在は会長)が記者会見で、「リストラを実施して、『ナイキ型回復』を実現していきたい」と述べています。

 「チェックマーク型回復」(Check mark recovery)もあります。「ナイキ型回復」と形はよく似ていますが、底打ちからの反転は急角度です。また、その逆の「逆チェックマーク型」もあります。こちらは回復が限定的であることを示します。 

 「ルート(√)型回復」(Square root-shaped recovery)は、急回復してから頭打ちとなって、横這いの状態が続きます。また「レ点型回復」という言葉も日本では使われています。急下降して、底入れし、急回復はするものの、以前の状態ほどには回復しないというものです。

 なお、英語では、V、U、W、L字型は、業績の回復にのみ用いられるのではなく、下降局面に目を向けて、不景気(recession)や景気後退(depression)にも使われます。「V-shaped recession」「L-shaped depression」といった具合です。日本では「V字型不景気」や「L字型景気後退」とはあまり言いませんね。

 急激な大転換をする「V字型回復」という言葉からは、「魔法のような」「劇的な」「力強い」「ダイナミックな」「大成功の」というイメージが湧いてきますが、日本では「Victory」マークと重なり、こうしたプラスのイメージが強いのかもしれません。

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最終更新:2016/2/18(木) 4:04
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