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進む長期金利低下をどう捉えるか、麻生大臣の発言から考える

2014/8/21(木) 17:00配信

THE PAGE

 低い水準で推移していた日本の長期金利がさらに低下しています。麻生財務大臣は、日本の長期金利が一時0.5%を割り込んだことについて「企業が銀行から積極的に資金を借りる状況にはない」との見方を示しました。低金利がさらに進行するという事態をどう解釈すればよいのでしょうか。

 麻生氏は、「私の立場ではコメントは控える必要がある」と前置きした上で「国債を大量に発行すれば長期金利が上がるという常識は通用しない」と述べ、その理由のひとつとして、景気の先行きに関する不透明感をあげました。

 長期金利は基本的にその国の名目成長率に収束してくるといわれています。日本の長期金利が一時的とはいえ、0.5%を割ったということは、市場では長期的に見て、日本経済はほとんど成長しないと判断しているということになります。もっとも、現時点では、日銀が量的緩和策を実施している最中です。量的緩和策とは、日銀が市場から国債などを買い取り、大量にマネーを市場に供給する政策です。日銀が大量に国債を買い入れますから、金利は低下しやすくなります。また、マネーの量が増えるとインフレ期待(物価が上昇すると皆が考えること)が発生します。物価の上昇期待があるにも関わらず、金利は低下傾向ですから、実質的な金利はさらに低下することになります。これによって企業の融資が増え、設備投資が増加することを狙っているわけです。

 実際はどうでしょうか。量的緩和の実施前から、じわじわと融資は伸びているのですが、量的緩和によって大幅に融資が増加したという状況にはなっていません。2014年3月期決算における日本企業の内部留保は300兆円を超えており過去最高水準です。企業はたくさんお金を貯め込んでいますが、国内に目立った投資先がないことから資金を余らせている状態なのです。このため企業は、いくら金利が下がっても、銀行からお金を借りようとしません。

 麻生氏は「中小企業の経営者は自分の家を担保に入れて融資を受けており、雇われのサラリーマンとは訳が違う」「少々景気がよくなったからといって簡単に融資などを増やせるものではない」とも述べています。

 麻生氏の認識は基本的に正しく、企業はそう簡単に借り入れを増やさないと考えた方がよいでしょう。こうした個別の判断の結果が、現在の金利低下につながっており、これを経済学的に説明すれば、日本経済の成長性に対する疑問が生じているということなのかもしれません。

 ただ、麻生氏の発言について、少々うがった見方をするならば、政府は今後、景気が足踏みすることに対して予防線を張っていると見ることもできます。消費増税の影響が大きいことから、景気判断について多少の軌道修正を行っている可能性があるわけです。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/1/12(月) 3:09
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