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急速に進む機関投資家の「モノ言う株主」化、何があったの?

2014/8/22(金) 7:00配信

THE PAGE

 最近、機関投資家の「モノ言う株主」化が急速に進もうとしています。日本では機関投資家は企業の経営に口を出さないのが暗黙の了解でしたが、何があったのでしょうか。

 機関投資家が変わる直接のきっかけとなったのは、安倍政権からの強い要望です。6月にまとめられた最新の成長戦略には企業統治(コーポレート・ガバナンス)強化策が盛り込まれたのですが、機関投資家はこうした政府の動きに敏感に反応しました。

 まず、公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、投資先企業への関与を強化するための行動規範(スチュワードシップ・コード)導入を表明。続いて、日本生命や第一生命など生命保険各社が、議案賛否数の公表や配当の増額などを求めていく姿勢を明らかにしました。主要な機関投資家がこのような動きに出たことで、他の多くの機関投資家がこれに追随すると考えられています。

 日本の上場企業はコーポレート・ガバナンスが徹底されておらず、経営の透明性が低いという問題はかなり以前から指摘されてきました。日本企業のROE(株主資本利益率)が国際的に見て低いことや、長期的な視点を持った外国人投資家が積極的に日本株に投資しない背景には、こうした日本企業の不透明性があるといわれています。

 確かに、日本の上場企業の経営者のほとんどは、従業員から内部昇格した人物で占められています。内部昇格自体が悪いわけではありませんが、現実には、ただの年功序列による就任も多く、本当の意味で経営責任を果たせる人物はごくわずかです。また、日本では株主が経営に口を出すことがタブー視されており、これまで機関投資家が議決権を行使することはほとんどありませんでした。このように外部からのチェックが入らない環境では、場合によっては経営陣が暴走してしまう危険性があります。オリンパスの不正事件は、まさにこうしたケースの典型といえるでしょう。

 投資家であるウォーレン・バフェット氏は、日本でも非常に有名ですが、実はバフェット氏は、特殊な事例を除いて日本企業には決して投資をしません。彼は表立ってはその理由を明らかにしないのですが、日本企業の透明性の低さを問題にしている可能性が高いといわれています。

 機関投資家の姿勢が変化することで、日本企業のガバナンスが強化されるのであれば、それはそれで前向きに評価してよいでしょう。しかし、本来こうした動きは、投資家と企業との交渉の中で、自主的に形成されてくるべきものです。政府からの指導がなければ、経営の透明性確保ができないということは、それ自体が、日本企業にガバナンス能力が不足している現実を表しているともいえます。

(大和田 崇/The Capital Tribune Japan編集長)

最終更新:2016/2/19(金) 4:15
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