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賃貸住宅の敷金ルール作り進む、日本の賃貸不動産は変わるか

2014/8/27(水) 7:00配信

THE PAGE

 賃貸住宅の退去時に、原状回復費用などで敷金が返ってこないというトラブルがなくなるかもしれません。来年に予定されている民法の改正案の中に賃貸住宅の敷金に関する項目が盛り込まれる可能性が高くなってきたからです。

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 民法では、敷金に関する項目はありますが、その範囲や返済義務の要件などについては記載がありませんでした。また退去する際の、原状回復義務についても、通常使用による損耗は対象にならないという明文化された規定も存在していませんでした。

 現在、法務省で議論されている改正案では、敷金について、名称に関わらず「賃料など金銭債務を担保する目的で、借り主が貸し主に対して交付する金銭」と定義される見込みです。つまり、賃料の滞納などがあった場合には、貸し主は敷金の中からその金額を差し引くことができる一方、賃貸契約が終了した際にはただちに敷金を返還する義務があります。

 また、原状回復義務については「通常の使用による損耗や経年変化は含まない」と定義されることになりました。家を借りた人が必要以上に内部を汚したというケース以外には、退去時に家主から高額の修繕代を求められるケースは少なくなりそうです。

 日本では不動産賃貸業が、いまだに成熟した産業になっておらず、貸し主の中には「貸してやっている」という意識を持つ人も少なくありません。一方で、日本の借地借家法は、借り主の権利が過剰に保護されており、一旦、住宅を貸し出してしまうと、家賃の滞納などがあってもなかなか強制退去を実施できないといった問題も指摘されていました。

 こうした状況を背景に借地借家法の改正が行われ、定期借家契約といった新しい契約形態も登場しましたが、高額物件などに限定されているのが実情です。安価な古い住宅の場合、基本的な図式は変わっておらず、貸し主はリスクを回避するため、借り主に過剰な負担を負わせている面があるわけです。

 総務省が行った住宅・土地統計調査結果によると、全国の空き家率は13.5%と過去最高を記録しています。住宅は余っているにも関わらず、こうした基本的な問題が解決していないことから、高齢者というだけで家を借りられないという状況がいまだに存在しています。

 持ち家対賃貸の論争というものがありますが、ほとんどの場合、決着がつきません。それは両者について経済的な観点だけで比較検討することができないからです。日本の持ち家信仰の背景には、高齢者になってしまうと家が借りられないという不安感があり、こうした不確定要素を取り除かなければ、合理的な判断は不可能なのです。

 法整備と並行して、賃貸住宅の保有者は、自身が不動産サービス事業者であるという意識を強く持つ必要があるでしょう。借り主を主観で選別せず、一方で、家賃の滞納があった場合には、毅然とした態度で処理することが求められます。そのためのコストは賃料に上乗せする勇気も必要となるかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/12/25(金) 3:25
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