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急激な円安ドル高、背景には何が? 生活への影響は?

2014/9/11(木) 7:00配信

THE PAGE

 しばらくの間、1ドル=102円を前後していた為替相場が大きく動き始めました。8月中旬からドルは急上昇を開始し、9月に入ると106円を突破しました。背景には何があり、わたしたちの生活にはどんな影響があるのでしょうか。

 今の円安ドル高の動きはここしばらく継続しそうだというのが市場の一般的な見方です。その理由は、現状において、ドル買いを誘発する材料ばかりが存在しているからです。

 もっとも大きな要因は、米国の金利動向です。米国は順調に景気の拡大が続いており、すでに量的緩和からの撤退モードに入っています。次の焦点は、景気の過熱を防ぐためにいつ金利を上げるのかということなのですが、米国の市場では、利上げが前倒しされるとの見方が徐々に強まっています。金利が上昇するとドルで運用する方が有利になってきますから、ドルが買われやすくなります。

 一方、欧州は全く正反対の状況にあります。インフレ率が低下し、場合によってはデフレに逆戻りするリスクが指摘されています。欧州中央銀行(ECB)はすでにマイナス金利政策を導入しており、量的緩和に踏み切る可能性が高いと考えてよいでしょう。欧州で量的緩和が実施されれば、ユーロが値下がりしますから、さらにドル高が進むことになります。こうしたところに、ウクライナ問題の複雑化という要素も加わり、さらにドルが買われやすくなっているわけです。

 円安ドル高が進めば、日本では株高になる可能性もありますが、アベノミクスが始まった時のような円安メリットは生じないかもしれません。というのも、日本の産業構造は以前とは大きく変化しており、国内で製造した製品を輸出するモデルにはなっていないからです。これまでかなり円安が進みましたが、輸出数量はほとんど伸びていないのが現実です。これ以上、円安になっても輸出企業への恩恵は限定的でしょう。

 一方、円安になると輸入物価が上昇するという弊害もあります。輸入物価の上昇は全体的な物価高を加速することになります。春闘で賃金は上昇したものの、物価を考慮した実質賃金は低下が続いています。円安が進行すれば、その傾向に拍車がかかる可能性があります。これ以上の円安は、デメリットの方が大きいかもしれません。

 もっとも、今後、恒常的に円安が続くのかどうかはまだ分かりません。FRBのイエレン議長は、明確に利上げを前倒しするとまでは発言していません。イエレン氏は金利よりも、労働市場の改善を重視しているともいわれており、もし労働市場重視の立場から利上げを遅らせることになれば、一気に円高に戻る可能性もあります。

 このところ為替市場は膠着状態が続いており、あまり為替を気にする必要はありませんでした。いずれの方向に為替が動くにしても、今後しばらくは、為替市場の動きに対して注意を払っておく必要があるでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/2/14(日) 4:46
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