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安倍改造内閣で政策はどう動く?

2014/9/12(金) 7:00配信

THE PAGE

 安倍改造内閣がいよいよスタートしましたが、人材の配置から、政策面で大きな動きが出てくるとの見方が広がっています。特に注目されているのは、消費税の10%増税、TPPの妥結、そして公的年金による株の積極的な購入です。

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 政府は今のところ消費税の10%増税を実施する方向で準備を進めています。しかし、今年4月の増税による影響が思いのほか大きいことから、10%増税を先送りすべきという意見も党内の一部から出ています。谷垣禎一新幹事長は財政再建論者であり消費税の10%増税に前向きといわれています。谷垣氏を幹事長に据えたということは、安倍政権は10%増税についてほぼ決断したと解釈した関係者は少なくありません。一方、10%増税を見送るにしても、谷垣氏は立場上反対できない可能性があります。増税論者が見送りに賛成したのだからという理由で各方面を説得することが可能になるという、少々ひねった見方も出ているようです。いずれにしても、消費税の増税を念頭においた人事のひとつであることは間違いなさそうです。

 TPPについて妥結の観測が出ているのは、農林水産大臣に反TPPの急先鋒といわれてきた西川公也氏が就任したからです。TPPに代表される農業問題は、実は農業問題ではなく、農協問題であると指摘する声も一部にはあります。

 確かに日本の農業と農協は切っても切れない関係にあり、TPPを受け入れる場合には、農協の制度改革に関する議論を避けて通ることはできません。西川氏は就任会見において「改革ありきで農協改革をするつもりはない」と発言しましたが、改革そのものを推進することについては否定しませんでした。安倍政権としては、これまでTPPに対して厳しい姿勢を示してきた西川氏を農相に据えることで、関連団体との調整をスムーズに行い、一気に妥結に向けて舵を切りたい意向と考えられます。

 公的年金の株式シフトは、塩崎恭久氏が厚労相に就任したことでさらに加速しそうな勢いです。塩崎氏はかねてから、国債に偏っていた公的年金の運用を株式にシフトすべきと主張してきました。すでに公的年金は株式の購入を積極的に進めているといわれていますが、塩崎氏の就任でその動きはさらに進むことになるでしょう。安倍政権にとって株価の維持は非常に重要な課題ですから、塩崎氏の役割は大きいと考えられます。

 これら3つの動きを総合すると、消費税の10%増税を着実に実施して財政再建の道筋を付けるとともに、TPPについて妥結して国際的な孤立を避け、さらに公的年金による株の買い支えによって、アベノミクスによる株高を印象付ける。そのようなシナリオが浮かんできます。

(大和田 崇/The Capital Tribune Japan編集長)

最終更新:2015/5/18(月) 4:09
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