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黒田総裁の相次ぐ金融政策に関する発言をどう見るか

2014/9/16(火) 7:00配信

THE PAGE

 4~6月期のGDPが大幅に下方修正されるなど、景気の先行きが不安視される中、日銀の黒田総裁が相次いで金融政策に関する発言を行っています。黒田氏の発言からは何が読み取れるでしょうか。

 黒田氏は11日に安倍首相と会談を行いました。首相と日銀総裁が会談するのは5カ月ぶりのことになります。黒田氏は会談後、「物価目標の達成が困難になれば、追加緩和であろうと何であろうと行う用意がある」と安倍氏に伝えたことを明らかにしました。日銀は物価目標達成のためには、躊躇しない方針であることを強調するのが狙いと考えられます。

 また黒田氏は、同日夜にテレビ番組に出演し「為替水準については言及しない」と前置きしながらも「円安が経済にマイナスになることはない」と述べ、円安を容認するとも取れる発言を行いました。

 続く12日には、政策研究大学院大学で講演し、日銀の金融緩和策を例に挙げながら、中央銀行が強いメッセージを発していくことが重要であるとの認識をあらためて示しています。

 黒田氏は、日銀の金融政策について「1990年代の終わりから非伝統的な金融政策を世界に先駆けて実践してきたが、それでも日本経済はデフレから抜け出せなかった」と分析。その上で「将来、物価が上がっていくと人々が予想するよう、日銀が強く働きかけていく必要がある」として、日銀が強い意思を示すことが重要である点を強調しました。

 一連の発言からは、日銀が物価目標の実現に対して本気であることをうかがわせます。一方で、追加緩和はできるだけ避けたいというホンネも見え隠れします。

 量的緩和策は市場にインフレ期待(物価が上がることを皆が予想する状態)を生じさせ、実質的な金利を下げることで、設備投資などに資金が回りやすくすることを狙った政策です。日銀が国債を大量に買い入れ、マネーを市中にバラ撒いているのはそのためです。しかし、マネーを供給し過ぎると、過度にインフレが進むなど弊害も大きくなってきます。

 日銀としては、緩和スタンスを強調することで市場のマインドに働きかけ、実際にはそれほどマネーを供給せずにインフレを実現するのが望ましいわけです。黒田氏が日銀の強い意思を強調するのはこういった理由からです。

 しかし、このまま景気が失速し、物価目標が達成できないということになると、日銀には追加緩和の圧力が高まることが予想されます。

 黒田氏が、本来は言及しないはずの為替水準について触れたのは、円安が進展することで、物価上昇に弾みをつけ、物価目標を実現したいという狙いがあると考えられます。

(大和田 崇/The Capital Tribune Japan編集長)

最終更新:2015/6/7(日) 4:25
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