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北朝鮮が“自画自賛”の「人権報告書」を発表した狙いは?

2014/9/26(金) 7:00配信

THE PAGE

 9月13日、北朝鮮が自国の人権は「世界的に優れている」と自画自賛する報告書を発表しました。北朝鮮の劣悪な人権侵害の実態は、既に明らかにされており、世界的にもワーストランキングの部類に入るものです。しかし、報告書の内容は、読んでいるこちらが赤面したくなるような自画自賛ぶりです。
 反論が予想されるにもかかわらず、報告書を出す、いや出さざるを得ない北朝鮮の狙いについて読み解いてみたいと思います。

北朝鮮による人権侵害の実態とかけ離れた報告書の内容

 報告書は、「朝鮮人権研究会」という団体名義で出されていますが、民間団体が存在しない北朝鮮ですから国家機関と見るべきです。当然、自国の人権状況を擁護することは想定内ですが、内容を見ると「世界的にも優れている人権制度」と激賞しています。まずは、その報告書について抜粋して見てみましょう。

「人民大衆中心のわが国の社会主義制度の特性と人権保障政策、人民の人権享受実状を事実通りに反映した。(中略)世界的にも優れている人権保障制度と施策に対する自負心を持っており、人民大衆中心の社会主義制度を守り、いっそう強化発展させるためにたたかっている」

 確かに、これらの内容が実生活で実現していれば、まさに北朝鮮が自慢してやまない「地上の楽園」ですが、その実態は報告書とはかけ離れたものになっています。

 北朝鮮当局による代表的な人権侵害としては、家族連座制の「政治犯収容所」や体制批判に対する徹底した監視と過酷な弾圧があります。言論機関は、体制の見解を垂れ流しで自由な報道も出来ません。自由な選挙も信仰の自由も存在せず、普遍的な人権という視点からすると、ほぼ全領域で人権侵害が行われています。

 筆者は6月に、中朝国境を訪れ数人の北朝鮮市民を取材しました。話のなかで、彼らは「中国に来るとあまりにも自由に話すことが出来るので最初は怖かった」と言いました。必ずしも中国が自由だとは言えませんが、北朝鮮の一般大衆が中国とは比べものにならない閉鎖社会に住んでいることをよく表した言葉だと思いました。

 また、日本人拉致問題や韓国人拉致問題も北朝鮮による人権侵害と言えます。

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最終更新:2016/1/25(月) 3:17
THE PAGE