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LINEの年内上場見送りを一般的な上場タイミングの変更理由から考える

2014/9/30(火) 7:00配信

THE PAGE

 無料対話アプリを手がけるLINEは、年内の株式上場(IPO)を見送る方針であることを明らかにしました。背景にはどのような事情があるのでしょうか。

 同社やその親会社である韓国のネイバーは「国内外でのサービス強化を優先する時期であり、今は上場に最適なタイミングではない」と説明しています。しかし、株式の上場というのは、その準備に相当の労力を必要とする一大イベントですから、市場環境の急変など、よほどのことがない限りは、上場の時期を変えるようなことはしないのが普通です。同社では詳しい理由を明らかにしていませんから、何ともいえませんが、同社の基本的な戦略などについて、社内や親会社との間で議論になっている可能性は否定できないでしょう。ここでは、あくまで一般論で、上場のタイミングを変える理由について考えてみたいと思います。

 株式の上場はあくまでスタート地点ですから、上場後の成長戦略が非常に重要となります。また上場をきっかけに、はじめてその会社に投資する人が大量に出てくるわけですから、上場後に株価がズルズルと下がってくるような事態は、何としても避けたいということになります。

 上場延期というと市場の低迷がまず思い浮かびますが、日本市場はもちろん米国市場に至っては絶好調という状況ですので、これが原因である可能性は低いでしょう。次に考えられるのは業績です。

 LINEは、詳細な財務情報を明らかにしていませんが、2014年4~6月期における売上高は212億円で、前四半期比で17.5%のプラス成長でした。売上高は順調に伸びていますが、今のところLINE事業そのものは赤字と考えられます。主力事業が赤字の状態で上場すること自体は何ら問題ありませんが、上場に際しては、ある程度の利益成長の道筋をつけておく必要があります。会社の経営戦略が大きく変わった場合には、利益成長のシナリオも変わってきますから、これが上場のタイミングに影響を与えたかもしれません。

 LINE特有の問題としては、同社の親会社が韓国の上場企業であり、もしLINEが上場すると親子同時上場になるという点があげられます。親子上場についても、それ自体が悪いことではありませんが、株式市場の世界ではあまり歓迎されていません。それは親会社の経営方針が、場合によっては子会社の株主に不利益になるなど、いわゆるガバナンスの問題が発生するリスクがあるからです。

 親会社から見れば、子会社を上場させれば極めて大きな利益を得ることができます。しかし、上場した子会社はもはや自分の所有物ではなく公器になってしまいますから、以前のようには影響力を行使することはできなくなります。したがって、親会社の韓国ネイバーにとっても、LINEの上場は経営戦略上、大きな決断となるわけです。このあたりの利害関係を整理できないと、上場がスムーズにいかない可能性もあるわけです。

(大和田 崇/The Capital Tribune Japan編集長)

最終更新:2015/8/22(土) 4:07
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