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群雄割拠のエコカーエンジン「石油編」 130年の歴史と技術革新、ハイブリッドで生き残り

2014/10/5(日) 19:00配信

THE PAGE

 電気自動車(EV)、プラグイン・ハイブリッド(PHV)、燃料電池車(FCV)などの登場で、まるでもうすぐ時代遅れになって消えて行くように言われる石油動力系の自動車だが、そうは簡単になくならない。ガソリンエンジンはもちろん、ディーゼルや次世代を目されるHCCIなど、次々と反攻の狼煙を上げている。

【画像】「電気編」 EV、PHV、燃料電池車は何が強みなのか?

 充電設備という未整備のインフラに依存する電気動力系と異なり、石油動力系には130年の歴史がある。インフラも十分に整っている。修理や整備の技術も普及している。途上国はもちろんのこと、先進国でもまだまだしぶとく生き残るだろう。

化石燃料自動車の仲間(給油して走るもの)

 先週の電気動力編に続いて、今週は石油動力系の現状を4種類に分けて見て行きたい。

■ガソリンエンジン

長所:目立つ欠点がない
短所:目立つ美点がない

 代表的な車種は無数にあるが、VWゴルフや日産ノート。それらに採用されるエコ技術は多岐に及ぶが、現在のトレンドは小排気量ターボ(ゴルフ)と気筒数削減(ノート)だ。

 しかし、よく話題に上る小排気量ターボや気筒数削減以前に、燃焼やロス低減に関する基礎的な技術の研究と開発が進んでいる。ガソリンエンジンにとって本当の進歩はこちらなのだ。

 エンジンの改善ポイントは山の様にあってとてもここには書き切れない。しかし、大まかな傾向はある。近年のガソリンエンジンにおけるエコ技術のポイントは「高圧縮化」と「ロスの低減」だ。

◎高圧縮化
 圧縮比とは混合気をどれだけ圧縮できるかの比率だ。ガソリンエンジンでは圧縮後プラグで火花を飛ばして爆発させる。この爆発力がエンジンの力になる。爆発力は事前の圧縮が強いほど高くなるから、本当はどんどん圧縮を高めたい。ところが混合気は圧縮すると温度が勝手に上がって、爆発してしまう。予定外のタイミングで爆発するとエンジンは壊れてしまうから、ほどほどのところで止めなくてはならない。そこを何とかもっと圧縮できないかというのがずっと悩みどころだったのである。

 異常爆発の原因が温度上昇にあるなら、温度を下げればいいんじゃないか? そこで燃料を圧縮前に混ぜるのをやめて、圧縮後にシリンダーの中に直接霧状に吹くことにした。霧は粒の細かい液体だ。この霧が蒸発して気体になる時には熱を奪う。すると濡れた手を扇風機に当てた時の様に圧縮中の空気を冷やしてくれる。そうやって温度を下げたら、点火プラグで火を付けるまでに勝手に燃えなくなった。これがストイキ直噴と呼ばれる技術だ。

 こうした技術によって10倍程度が限界だった圧縮が12倍位まで可能になった。高圧縮の実現にはこの空気の冷却はとても有効で、他にも様々な冷却方法が模索され、燃費の向上に貢献している。

◎ロスの低減
 もうひとつの方、ロスの低減にはどんな技術があるのだろう? 例えば自転車でどこかへ出かける時、行きが登りなら帰りは下りだ。下りだけ多く出来ないかというのは無理な相談だ。

 エンジンも同じで、圧縮というツライ作業は減らしたいけれど、爆発でエネルギーを受け取る時のことを考えると圧縮は減らせない。

 しかしこんな無茶をやってのけた技術がある。可変バルブ制御である。圧縮行程の途中まで吸気バルブを閉めなければ、空気を圧縮しないので坂道がほぼ平地になる。途中からバルブを閉めるとそこからが坂だ。自転車だと残りの道のりが急こう配になってしまうが、エンジンの場合は単純に坂が少なくなるだけである。帰りの坂は気持ちよく下ってくればいい。

 こう書くと、詳しい人の中には「圧縮比が下がっちゃうんじゃないか」と疑問を持つ人がいると思うが、バルブを閉じたタイミングを起点に12倍になるように予め超高圧縮比のエンジンを作っておくのだ。

 効率が良くなる理由は、行きには圧縮に使われるロス(ポンピングロス)が減り、帰りにはまだまだ力が残っている燃焼ガスを諦めずに活用できるからだ。

 つまりこれまでメリットとバーターだから仕方ないと諦めていたロスを何とかして減らす技術がどんどん開発されている。可変バルブ制御以外にもこうしたロス低減の技術は沢山ある。

 このように可変技術はメリットが大きい。自動車のエンジンは様々な状況で運転されるので、最悪の時に最悪の事態にならないように安全を見込んで設計されている。しかし本当はラクな運転状況ならもっと色々と効率を上げることが出来る。だったら場面別にモードを切り替えれば良いと言う考え方だ。

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最終更新:2016/2/10(水) 3:24
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