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女性登用の数値目標義務化に効果はあるのか 欧米の事例から考える

2014/10/10(金) 17:00配信

THE PAGE

 政府が企業に対して女性登用の数値目標設定を義務付ける案が現実味を帯びてきました。政府は、臨時国会に提出する予定の「女性活躍推進法案」において、女性登用の数値目標に関する規定を盛り込むことで調整を進めています。数値目標の設定は女性登用に効果があるのでしょうか。

 安倍政権では、成長戦略の柱の一つとして女性の活用を掲げており、女性登用の数値目標設定に前向きに取り組んできました。しかし、具体策を検討していた厚生労働省の審議会は9月30日、報告書を提出したものの、その内容は企業の自主的な取り組みを前提とした内容にとどまっていました。幹部に登用する女性の人材をすぐに揃えることが難しいとの理由で財界が難色を示していたからです。

 しかし政府内部では、数値目標を設定しないと女性登用は進まないとの声が大きく、最終的に審議会で議論される法案要綱には数値目標に関する規定が盛り込まれることになり、7日の審議会で了承されました。ただし、対象は従業員300人超の企業に限定されています。

 数値目標の設定が義務付けられれば、表面上の女性登用は確実に進むと考えられます。法律で明記された以上、企業はそれに従う必要があるからです。しかし財界が懸念しているように、今の日本においてすぐに幹部職員として働くことができる女性がどの程度いるのかという現実的な問題があります。また一部からは、男性に対する逆差別だという意見も出ているようです。

 こうした女性登用策はかつて欧米ではいろいろと議論されてきました。フランスなどのように、一定数の女性登用を義務付ける制度(クオータ制など)を導入している国もあります。半強制的な制度を導入すれば、一定の効果が得られることは間違いありませんが、フランスでもクオータ制についてはその是非をめぐって賛否両論があるようです。

 労働政策研究・研修機構の調査によると管理職に占める女性の割合が世界で最も高いのは米国となっています。米国も70年代にはアファーマティブ・アクション(強制的な差別是正)と呼ばれる方策が盛んに議論されました。しかし、実際に女性の登用が進んだのは、レーガン政権によって徹底的な市場原理主義が導入された80年代以降のことです。つまり大胆な規制緩和などいわゆる競争政策を導入すると勝手に女性登用は進むのです。

 日本は米国、英国、ドイツといった市場原理主義の国より、フランスやイタリアなどと同様、市場原理をあまり全面に出さない国に分類されます。そうなってくると、市場メカニズムによる女性登用ではなく、政府による数値目標の設定が現実的なのかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/9/4(金) 4:55
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