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外国人の家事代行は普及するのか?

2014/10/19(日) 8:00配信

THE PAGE

 政府は今国会に、国家戦略特区改正法案を提出する予定ですが、その中には、外国人家事支援人材(いわゆるメイド)の活用策が盛り込まれる予定です。外国人による家事支援は果たして普及するのでしょうか。

 安倍政権では成長戦略の一環として女性の活躍を掲げているのですが、女性にとって家事や育児の負担が大きいことが、社会進出を阻むひとつの要因と考えられています。このため政府では規制を緩和し、外国人のメイドを雇えるよう法改正を行う準備を進めているわけです。

 従来は、在日大使館の職員や、特定分野の高度人材と呼ばれる人しか、外国人をメイドとして直接雇用することはできませんでした。今回の法改正は、この規制を緩和し、地方自治体等による一定の管理体制のもとで、派遣会社に外国人が雇用されることを許可しようというものです。

 ただ現実問題として、大使館職員や外国人の経営幹部などのように、フルタイムでメイドを雇いたいというニーズのある日本人世帯は極めて限定的です。また外国人のメイドはフィリピン人女性が非常に多いのですが、彼女たちは英語が話せるだけでなく、エグゼクティブ向けのサービス(来客時のマナー、テーブル・セッティング、ベット・メイキングなど)に慣れているため、重宝されているという側面が強いのが現実です。

 実際にメイド業務が外国人に開放されることになったとしても、日本の場合には、従来から存在している、時間あたりで家政婦を派遣するという、いわゆる家事代行サービスの延長として提供される可能性が高いでしょう。そうなってくると、利用者側にとっては外国人であるメリットはそれほど多くないということになります。

 もっとも、一部の利用者にとっては、日本人ではない方が気楽に仕事を頼みやすいという面があるかもしれませんし、事業者側にしてみれば、日本人よりも安価に雇うことができるので、外国人の活用には経済的なメリットが出てくるはずです。女性が本気で仕事と家事を両立させようとした場合、かなりの金額を家事支援サービスに支払う必要が出てくると考えられますが、この負担に耐えられる世帯はそう多くないでしょう。サービス事業者にとって外国人の活用は、価格を引き下げ、市場拡大を進めるチャンスになるわけです。さらに穿った見方をすれば、今後、移民受け入れを本格化させるための布石として位置付けられていると解釈することもできるかもしれません。

 女性が結婚することで失われる労働力は580万人にのぼるといわれています。日本は近い将来、深刻な労働力不足に陥る可能性が高く、この580万人をいかに労働市場に呼び戻すかは優先順位の高い政策課題です。家事支援業務への外国人開放が正しい回答なのかは何ともいえませんが、女性の負担軽減策が必要ということだけは間違いありません。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/1/27(水) 3:13
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