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推進派と慎重派に隔たり 不動産のネット取引は実現するのか

2014/10/22(水) 7:01配信

THE PAGE

 ITを活用した不動産の非対面取引を解禁しようという議論が政府内部で進められています。しかし、従来の取引慣行を維持したい業界団体と、ネット推進派との間には、大きな隔たりがあるようです。

 現在の制度では、不動産取引を行う場合、免許の交付を受けた宅地建物取引業者が、取引に関する重要事項について書面を交付する必要があります。この「重要事項説明」は、取引主任者が対面で行うことが前提になっており、電子メールやWebなどの使用は想定されていません。国土交通省の検討会ではこの制度を改正し、ITを使った非対面での取引が可能なのか検討を進めています。

 検討会では、推進派と慎重派がそれぞれ意見を出しているのですが、以前、大きな話題となった市販薬のネット販売に関する論争に近い状況となっています。

 ネット解禁を強く主張しているのは、市販薬のネット解禁論争の時と同じく、楽天の三木谷社長が中心となって設立した新経済連盟です。ネット推進派は、ITの活用によって遠隔地での取引も活発になり、不動産市場の活性化に寄与すると主張しています。また安全性についても、IT化によって重要事項説明を録画して保存することが可能となるため、説明内容の誤りや消費者の理解不足を原因としたトラブルの防止にも役立つと主張しています。

 一方、慎重派は、個人のITリテラシーには差があり、消費者が選択できたとしても、業者の意向でIT取引に誘導されてしまう危険性がある、重要事項説明は複雑でありITツールで十分に内容を伝えられるのか分からない、なりすましなどの危険がある、といった指摘をしています。

 日本の不動産取引は、対面が原則となっているため、重要事項説明だけでなく、資金の決済も当事者が直接顔を合わせて行われることが多いのが現実です。このため遠隔地での売買が活発にならないという傾向があり、不動産市場拡大の阻害要因になっています。また重要事項について対面で説明するといっても、現実にはただの儀式になっているケースが多く、本当の意味での消費者保護にはつながっていないという意見があります。

 さらに、日本の不動産取引に対しては、決済に第三者が入らないなど、制度面でそもそも消費者保護が不十分という指摘も出ています。そうなると、対面か非対面かということ以前の問題にもなってくるわけです。

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最終更新:2015/3/22(日) 4:47
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