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ガンホーが「記事にある通り」とコメント ── 東証の指導で情報開示のあり方は変わったのか

2014/10/30(木) 7:00配信

THE PAGE

 上場企業の情報開示のあり方が少しずつ変わってきています。これまで、木で鼻をくくったような開示も多かったのですが、新聞報道などが事実だった場合、その内容を認める記述を行う企業も出てきました。背景には何があるのでしょうか。

 日本経済新聞は10月25日、ガンホー・オンライン・エンターテイメントが増収増益になる模様という予想記事を掲載しました。これに対してガンホー側は「当社が発表したものではありません」という前置きをした上で「記事にある通り、売上高、営業利益ともに上回る見込みです」との開示を行いました。

 業績の予想やM&A(合併・買収)に関する報道に対しては、これまで多くの企業が「当社が発表したものではありません」といった無味乾燥な開示をするだけでした。こうした報道は、記事が間違っていることもありますが、ほとんどが会社側からのリークによって成立しており、フタを開けてみれば本当だったというケースが少なくありません。会社側が市場の様子を見るため、新聞記者に一旦リークし、その後正式に発表するわけです。投資家からすれば「当社が発表したものではありません」という無味乾燥な開示の数日後に、記事とまったく同じ内容の正式発表を目にするわけですから、「当社が発表したものではありません」という開示には何の意味もないことになります。

 ここでいう情報の開示とは適時開示のことを指すのですが、これは法律では義務付けられていないものの、投資家が適切に判断できるよう、取引所が上場企業に求めている情報開示のことです。法律で義務付けられている開示情報だけでは、投資家は十分に状況を判断できないのが実情であり、適時開示は健全な市場の育成に重要な役割を果たしているわけです。

 しかし、この適時開示がこのように形骸化してしまうと投資家の保護につながりません。こうした現状を受けて、東証では、今年の初め頃から、各企業に対してもう少し具体的な開示をするよう指導を強めてきました。その結果、こうした報道に対して「当社が発表したものではありませんが、検討しているのは事実です」といったように、少し踏み込んだ開示をする企業が増えてきたのです。ガンホーもその流れを受けた開示のひとつということになります。

 株式市場は適切な開示があって初めて健全な取引が成立します。東証のこうした指導は非常に的確なものといってよいでしょう。ただ、こうした取り組みは、本来、東証に指導されるのではなく、企業自身が積極的に行うべきものであることも忘れてはならないでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/4/15(水) 4:17
THE PAGE