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MRJ日の丸ジェット、7割の部品が外国製ってどういうこと?

2014/10/31(金) 10:00配信

THE PAGE

 約半世紀ぶりの国産旅客機である三菱重工のMRJ(三菱リージョナルジェット)が大きな注目を集めています。「MRJは日本の誇りを取り戻す挑戦」などと、報道もエキサイトしているようです。しかし一方では、部品のほとんどが外国製でメイド・イン・ジャパンとはいえないのでは?という声も上がっています。果たしてこれは本当なのでしょうか。

 MRJは設計と組み立てが日本企業の手によって行われていますから、まさしく日本製の飛行機なのですが、使用されている部品の多くが外国製というのは本当です。MRJの部品点数は約100万点ですが、その約7割は外国製といわれています。そうなってしまう背景には、現代の航空機製造における産業構造の変化があります。

 日本はかつて官民共同でYS-11というプロペラ機(ターボプロップ機)を製造していた時代がありました。YS-11そのものは非常によく出来た機体といわれたのですが、ビジネス的には散々で、採算ベースに乗せることはできませんでした。YS-11が生産中止になった後、世界の航空機産業は劇的な変貌を遂げます。以前であれば、ボーイングのような完成機メーカーは、設計から部品の調達、最終組み立てまで、すべてを担当していました。しかし、航空機産業の世界にもコモディティ化の波が押し寄せ、パソコンのような水平分業が定着してきたのです。

 現在では、メガサプライヤーと呼ばれる大手の部品メーカーが、航空機の各ユニットを半完成品の状態まで作り上げ、完成機メーカーは最終組み立てだけを行うというのが主流となっています。完成機メーカーは、メガサプライヤーが提供するユニットを選択するだけという形になり、あまり独自色を出せなくなっているのです。またメガサプライヤーは、エンジン、制御系、電装系など、それぞれの得意分野に集中しており、かなりのコストメリットを提供できます。ここに新しいメーカーが参入することは、技術的には可能でも、コスト的には相当難しいといわれています。

 この状況は当然のことながらMRJにとっても例外ではありません。メガサプライヤーのほとんどは欧米企業なのですが、メガサプライヤー以外の日本企業から部品を調達しようとすると採算が合いません。このため、日の丸ジェットといっても、欧米から多くの部品を調達する結果になってしまうのです。

 ボーイングは米国の会社ですから、結果的に部品も最終製品も米国製ということになりますが、MRJのライバルであるブラジルのエンブラエルは、MRJと同様、機体はブラジル製でも、部品は国外のメーカーに頼っている状況です。これは製造業のグローバル化、コモディティ化というビジネスの問題であって、技術の国籍の問題ではないのです。

(大和田 崇/The Capital Tribune Japan編集長)

最終更新:2016/2/23(火) 4:17
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