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「同一労働・同一賃金」って非正規社員と正社員どちらが得するの?

2014/10/31(金) 18:00配信

THE PAGE

(写真は民主党提供、無断転載禁止)

 政策面であまり共通項のない民主党と維新の党が、今国会に提出する法案をめぐって協力関係を模索しています。これにはどのような背景があるのでしょうか。

 民主党は、労働者派遣法改正案について、今国会最大の対決法案と位置付けています。現行の労働者派遣法では、企業が3年を超えて派遣労働者を受け入れることができません。しかし、今回の改正案では、人を入れ替えれば企業は3年を超えて受け入れが可能となります。3年という縛りが撤廃されることによって、派遣の恒久化が進むとして民主党はこの法案に強く反対しています。

 一方、維新の党は、この法案に関連して、非正規労働者の待遇改善も進めるべきだとして、同じ仕事であれば正社員と同じ賃金や待遇を得られる「同一労働・同一賃金」などを盛り込んだ独自の法案をまとめる方針です。同一労働・同一賃金については民主党も一定の理解を示しており、場合によっては、共同で国会での議論を進めることが可能となるわけです。民主党と維新の党は、イデオロギー的には正反対のイメージですが、労働者の処遇については、共通点が見つけ出せているようです。

 同一の労働に対して二つの賃金体系が存在しているということは、どちらかの賃金が非合理的に形成されている可能性が高く、労働市場全体の効率を低下させる原因にもなります。今回の法案に対する動きとは直接関係しませんが、安倍首相は9月に開かれた政労使会議(政府、経済団体、労働団体の代表らが雇用や賃金について話し合う会議)の場において、これまでタブーとされてきた年功序列の賃金体系の見直しについて言及しています。年齢が上がるにつれて同じ労働でも賃金が上昇することは、異なる賃金体系が併存していることと同じですから、同一労働・同一賃金の問題とも関係してくることになります。

 ただ現実的にはこの問題の解決は非常にやっかいです。異なる賃金体系のどちらに賃金を寄せるのかということになると、企業側の理屈としては、正社員の給料を引き下げたいところでしょう。しかし、非正規社員というものは、そもそも、給料の原資に限界がある中、正社員の給料を下げないために導入されてきたという経緯があります。正社員の給料引き下げは、正社員からの猛反発が予想されますし、日本の場合、経営者の多くは従業員の延長線上にあります。現実にはなかなか導入を決断することはできないでしょう。一方、非正規社員の給料引き上げとなった場合には、企業は人件費を抑制するため、今度は雇用を犠牲にする可能性が高いと考えられます。

 企業は生産性を向上できなければ、給料の原資を増やすことはできません。このあたりを現実的にどう折り合いを付けていくのか、野党としての実力が問われそうです。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/2/24(水) 4:39
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