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再生可能エネルギーの受け入れ保留 電力会社は原発を優先しているのか 科学ジャーナリスト・久我勝利

2014/11/4(火) 7:00配信

THE PAGE

 今年9月24日、九州電力が、すでに再生可能エネルギーの接続契約申込みをしている事業主及び今後新規申込みをする事業者に対しての回答を保留すると発表しました。その理由として、「本年の3月1か月間で、それまでの1年分の申込み量に相当する約7万件もの太陽光の接続契約申込みが集中した」ことから、7月末までの申込み量がすべて接続されると、接続料は1260万kwに達し、冷暖房の使用が少ない春秋の晴天時には昼間の消費電力を太陽光・風力による発電電力が上回ってしまうためとしています。

 発電電力が需要を上回るのなら、何も問題はないのではないかと思えますが、供給と需要のバランスが崩れると、周波数が不安定になり大規模停電の原因ともなりかねません。その意味で、九州電力の今回の措置は理解できないわけではありません。

 また、今回の九州電力の措置に対し、電力会社は原発の稼働を促進するために、再生可能エネルギーの導入を抑制する意図があるとする声もあります。

 おりしも川内原子力発電所の地元、薩摩川内市議会は10月28日、臨時議会を開き、再稼働について賛成、反対それぞれの陳情を審議し、結果的に賛成の陳情を採択しました。あとは県議会と伊藤祐一郎知事の判断に任されます。

 脱原発派が、原発再稼働のための再生可能エネルギー潰しと考えるのも無理はありません。が、ここは原発と再生可能エネルギーの問題は切り離して考えるべきです。

 ことあるごとに電力会社は「電力の安定供給」を訴えますが、これは当然のことです。電力の安定供給は、まずベース電源(ベースロード電源)をしっかり確保することで実現します。ベース電源とは、季節や天候や昼夜に関係なく一定量の電力を安定して供給できる電源のことです。これに対し、夏の電力需要のピーク時に絞って発電するのが「ピーク電源」で、その中間に位置するのが「ミドル電源」です。

 残念ながら、再生可能エネルギーのうちでも太陽光発電や風力発電は、昼夜や天候などの自然状況に左右されるため、ベース電源とはなりえません。地熱発電は比較的安定していますのでベース電源となりえます。

 その意味で、ベース電源となりうるのは、原発と火力発電、水力発電、そして地熱発電です。電力会社はコストの低い原発を稼働させ、高コストの火力発電を抑制したいというのが本音です。

 しかし、それでは再生可能エネルギーは活用できないのか。課題となるのは、太陽光・風力発電の出力調整、蓄電装置などの整備です。それが解決すれば、太陽光・風力発電は安定供給が可能になります。

 九州電力の燃料別発電電力量の割合を見てみると、東日本大震災前の2010年度には、原子力が39%で、火力(石炭、LNG、石油等)が53%、水力5%、地熱1%、新エネルギー(太陽光、風力、バイオマス、廃棄物)2%であったのが、2013年度には原子力0、火力が89%、水力6%、地熱2%、新エネルギー3%となっています(九州電力HPより)。実質的に原発の穴埋めをしているのは火力発電であることがわかります。

 火力発電とは言っても、燃料により、石炭火力、天然ガス火力、LPガス火力、石油火力などの種類に分けられます。このうち、熱量単価の安い石炭火力は、ベース電源として、天然ガス火力、LPガス火力はミドル電源にあてられます。

 ピーク電源は、石油火力や揚水式水力などです。揚水式水力は、夜間の電力使用量が少ない時間帯に、余った電力を使って高い場所にある貯水池に水を組み上げ、ピーク時にその水を流して発電する方式です。

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最終更新:2015/11/1(日) 5:00
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